松竹は、2023年秋に、東銀座において同社が本社を構えている東劇ビルの隣接地に新スペース「SHUTL(シャトル)」の新設・開業を予定している。
「中銀カプセルタワービル」のカプセル2基を再利用
同社は、昨年解体された建築家・黒川紀章さんの代表作「中銀カプセルタワービル」を構成していたカプセルを、オリジナルの内装を保持した状態と、内装を取り払ったスケルトン状態で1基ずつ取得した。
「SHUTL」は、新設する建物内にこの2基のカプセルを収納した実験場(ラボ)。「伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として『未来のオーセンティック』を生み出す」をコンセプトに、伝統文化と現代のカルチャーの融合、そして日本文化そのものの新陳代謝を促進することを目的としている。
なお、ロゴデザインは、関西から日本のみならず世界にその存在感を発揮している新進気鋭のデザイナー・三重野龍氏が担当した。
2つの事業を軸に展開
「SHUTL」では、「現代における日本文化の再定義/再評価の促進と未来の担い手の開拓」「日本文化における若手育成機会の創出」という運営方針を掲げる。
事業は、それぞれのカプセルを活用しながらの「スペースレンタル事業」「自主企画の実施と作品・グッズ販売」を軸に展開。スペースのコンセプト設計、運営は、同社のパートナーとしてマガザンが協働で行う。
「スペースレンタル事業」としては、美術・工芸作品の企画展示・販売や映像上映などを想定。銀座・築地という賑わいと格式のあるエリアに集う、上質・本物志向が高い人々へ向けて、場がもつ魅力とともに、作品やプロダクトを効果的にプレゼンテーションできる。
「自主企画の実施と作品・グッズ販売」では、実験的で既成概念に囚われないオリジナル企画を開催。新進気鋭のアーティストや、注目すべき技術やアイディアを有するデザイナー・職人による作品・活動、関西圏を皮切りにローカルな才能を積極的に紹介する。
また、現代的な表現と、同社が有する伝統文化への造詣を接続・コラボレートすることで、日本文化の新たな価値を発見・発掘し、再定義していくことを試みる。
さらに、発表の場のみならず、取り組みを伝えるワークショップ、ユーザーや鑑賞者とのマッチングの機会を設けることで、作り手と鑑賞者・利用者の新たな出会いや気づきを生み出し、暮らしから芸術まで、将来の日本文化の発展に寄与することを目指す。
東銀座を未来の日本文化の一端を担う場所へ
同プロジェクトは、松竹グループのミッション「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」に基づく取り組みの一環。これまで、このミッションに基づき、歌舞伎座の再生、京都南座の耐震改修工事による保存など、歴史的建築物を次代に継承し、新たに利活用してきた。
今回は、東銀座エリアを日本文化の発信拠点として発展させるべく、実験的な取り組みとして同プロジェクトを推進する。
日本文化を継承・発展させる開かれた場となる「SHUTL」での企画に注目してみて。
■スペース情報(予定)
施設名称:SHUTL(シャトル)
所在地:東京都中央区築地4-1-8(東劇ビル隣、旧住居表示)
ティザーページ:https://shutl.shochiku.co.jp
(Higuchi)