日本一の鞄のまち兵庫県豊岡市の羽倉では、就学予定の子どもがいる自社工房の職人にランドセルを提供する制度「羽倉の子どもランドセル手当」を、4月20日(木)に開始した。羽倉の豊岡工房で働く職人の声から生まれた、技術力の向上を目的にした制度だ。
対象は、羽倉の工房で職人として働く社員・準社員・パート社員すべて。現在働いている職人はもちろん、今後の採用者も対象だ。ランドセルを引き渡す時期は、小学校入学式前の予定。職人本人や家族を工房へ招待し、簡単な式典を開催することも検討している。
ランドセル手当が職人親子の強い絆になる
豊岡にある羽倉の工房では、日々、職人たちが技術の研鑽につとめている。そんな中、子育て中の職人から、「わが子のランドセルをつくりたいので、技術習得を頑張っている」という声があった。一人でランドセルの全工程を手掛けられるようになりたいという想いが、職人自身のスキルアップにもつながっている。
「羽倉の子どもランドセル手当」は、前出の職人の声がヒントになり、スタートした。本来ならば、職人自身が独力でつくりあげたランドセルを渡すのが理想。しかしながら、一人でランドセルをつくりあげるには非常に高い技術が必要で、長年の経験を誇るベテラン職人でも難しい仕事となる。
実際に羽倉でも、工程を分担しながらランドセルづくりを行っている。分担していても、「この部分は自分が担当した」というランドセルは、職人親子にとってかけがえのない宝物になり、強い絆になるはずだ。制度を通じて、職人一人ひとりの技術力向上につなげたいと考えている。
子どもたちが職人の仕事に興味を持つきっかけにも
「羽倉の子どもランドセル手当」の背景には、職人のなり手が減っていることもある。実は羽倉だけではなく、豊岡鞄の業界全体で職人不足が課題となっている。
奈良時代の柳細工がルーツとされる「豊岡鞄」は、千年もの間、技を磨いたつくり手たちにより、時代に応じて進化してきた。特許庁に登録された地域団体商標である「豊岡鞄」の技術を次世代へと伝えていくためにも、羽倉では、未経験者にも一から指導を行っている。
今回の制度が、ものづくりや職人の仕事に関心を持ち、豊岡鞄の世界へ飛び込むきっかけの一つになることも期待している。
今年の人気カラーはイエローとバイオレット
羽倉では現在、2024年モデルのランドセル(全28色、全8シリーズ)を販売中。工房系ランドセルの中でも豊富なカラーバリエーションを誇る羽倉だが、今年の人気カラーは4月30日時点、イエローとバイオレットだ。
イエローは春のたんぽぽ、バイオレットは梅雨明けのあじさいをイメージしたカラー。いずれも豊岡の四季折々の自然にインスパイアされたオリジナルカラー「はくらいろ」なので、暮らしの中にすっとなじむ色合いだ。
ここ3年は「コロナ禍」でのラン活が続いたが、今年はショールームへ足を運んで購入する人が増えている。
ランドセル探しをしている人や、羽倉のランドセルづくりに興味のある人は、豊岡のショールームをチェックしよう。
羽倉公式サイト:https://hakura.jp/
(佐藤 ひより)