ペーパルは、食べられなくなったお米を活用した紙素材「kome-kami」ブランドの新商品として、新技術で継ぎ目ゼロと滑らかな表面を実現した紙パッケージ「kome-kami BOX」を開発し、6月から卸販売を開始する。
“紙”という循環可能な素材を社会に提供
1890年(明治23年)に奈良で創業して以来、132年に渡り紙の販売を通じて紙文化を支えているペーパル。“紙”という循環可能な素材を社会に提供し、脱プラスチックを視野に入れた素材の啓発活動を行うことで、SDGsへの取り組みを推進している。
2020年よりフードロス問題の解決を目指すための素材「フードロスペーパー」の開発を行うプロジェクトを行っており、「kome-kami」「クラフトビールペーパー」「momi-kami コートボール紙」「vegi-kami にんじん」などを開発した。
お米をアップサイクルした紙素材「kome-kami」
現在、日本全体で年間646万トンにもおよぶフードロスが問題となっている。その646万トン以外にも、企業や自治体が廃棄する災害用備蓄のお米や、加工・流通段階で食べられなくなったお米が多数発生しているのが現状だ。フードバンクなどと連携するなどして活用を模索しているが、すべてが活用しきれるわけではない。
そこでペーパルでは、このような社会的なコストを価値あるものに変換する商品として、食べられなくなったお米を活用した紙素材「kome-kami」を開発した。売上の1%をフードバンクに寄付し、食品ロス問題の解決を目指す。
日本では古くから紙にお米を使う文化があった(※)。鎌倉時代に始まり、特に江戸時代には多種多様な米入りの紙が生まれ、再生紙にお米を入れることで白くしたり、筆のにじみ防止のために使われたりした。「kome-kami」は、古くからの日本の「もったいない」文化を受け継いだ伝統的でありつつも新しい素材といえる。
最新技術を用いることで実現した美しいフォルム
「kome-kami BOX」は、最新技術を用いた継ぎ目の一切ないフォルムで、“美しい芸術作品”のような紙箱。紙とは思えないほど滑らかな指通りの表面が特徴だ。
お米を細かく粉砕したものとパルプを一体化した素材を、特殊な方法で金属型に均一に伸ばし、圧力をかけながら一気に乾燥させることで継ぎ目の一切ないスムースな表面の形状が作られる。「kome-kami BOX」は、この製造方法によって従来の紙製品とは一線を画す滑らかなフォルムを実現した。
サイズはA5で、箔押しなど装飾もできるので、アイデア次第で様々な用途で使うことができる。
フードロス削減に貢献するだけでなく、すべて紙でできているため脱プラにも繋がる商品だ。
第一弾として文具に採用
「kome-kami BOX」は、第一弾として、「HAKOS」という収納BOXに採用され、職人の手仕事で手の込んだ紙製品を制作する老舗紙工会社の廣栄紙工で製品化された。カラフルに色分けした小さな箱を丁寧に1つずつ敷き詰めるなど、細部にこだわっており、文具マニアの物欲が沸き立つようなナチュラルポップなBOXに仕上がっている。広栄紙工の販売サイトで5月18日(木)より先行販売中なので、チェックしてみて。
kome-kami BOX 公式サイト:https://foodlosspaper.com/kome-kami-box
広栄紙工 販売サイト:https://koeisiko.base.shop/
※ 編纂と文化財科学 東京大学史料編纂所研究紀要 第23号
(山本えり)