新宿から約1時間ほどに位置し、自然豊かな東京都あきる野市の深沢地区にある「南沢あじさい山」は、1万株もの色とりどりのアジサイが魅力で、シーズンには毎年多くの来訪者で賑わう。今年の会期は6月9日(金)〜7月16日(日)だ。
地域をお花の里にした花咲じいさん
深沢地区をお花の里にしたのは、現代の花咲かじいさん「ちゅういっちゃん」こと南澤忠一さん。両親が眠るお墓への道に彩りを添えようと林道にあじさいの苗を植え始めたことをきっかけに、約50年間、たった1人で1万株ものアジサイや様々な季節の花を植え続けた。
現在は、90歳と高齢になり存続が難しくなった忠一さんの活動とその思いに感銘を受けた地域の若者たちが「南沢あじさい山」とその想いを未来へ引き継いでいくことを決め、毎朝山の管理を行っている。管理にはかなりの費用がかかるので、クラウドファンディングなども積極的に取り入れつつ、地域と連携した新たな取組みも動き出し、持続可能な観光地を目指して活動をしている。
忠一さんの思いを継ぐ「深沢花の会」
春の深沢地区は、桜やミツマタ、ハナモモ、椿など、アジサイ以外にも色とりどりの花でいっぱいになった里風景が楽しめる。元々忠一さん1人で始まったお花の里づくりは、“日本の原風景広がる美しいお花の里を未来に残したい”という想いのもと地域の賛同者たちによって発足された「深沢花の会」や自治体の協力によって継続されている。
環境保護と集客への挑戦
地域の人の生活と密接に関わる里では、観光地が抱える交通渋滞と排ガスや騒音、違法駐車などによる自然環境破壊などの懸念が生じている。より多くの人に訪れてほしい反面、里地域の環境を保護したいというジレンマがあった。そこで、この地域文化と自然環境を体験して理解を深めてもらうエコツーリズムを推進する観光地とすることを目指し、まずマイカー規制を導入した。
忠一さんの思いをはじめ、この地域が持つ自然や歴史・文化などの物語をきっちりと発信し、美しい「南沢あじさい山」とこのお花の里を次の世代に残していくために、地域理解を深めることを目的としたエコツーリズム観光地を目指した活動を行い、より多くの人にこの地域の魅力を伝えていきたいと考えているという。
また、忠一さんの想いに共感した加藤登紀子さんと娘のYaeさんをはじめ、一流アーティストが参加している「百万本のアジサイ音楽祭」を3年前から開催し、より多くの人にこの地域の魅力を発信する活動も行っている。今年の開催詳細はWEBサイトにて公開されるので、チェックしてみて。
さまざまなアジサイ商品が誕生
さらに、「あじさいドライフラワー」や、
「あじさい茶」、
「あじさいビール」、
「あじさいソフト」「あじさいジェラート」など、アジサイを活用した様々な商品を開発。これらの商品を通じて「南沢あじさい山」の魅力を発信し、地域へ足を運んでもらうことを目指している。
「南沢あじさい山」は、中央線武蔵五日市駅から徒歩40分。タクシー、期間限定のシャトルバス(30分間隔)もある。マイカー規制のため会場には駐車場がないので、車の場合は武蔵五日市駅前の駐車場を利用しよう。
■南沢あじさい山
住所:東京都あきる野市深沢368
HP:https://ajisai-yama.com/
Instagram:https://www.instagram.com/ajisai_yama/
(山本えり)