東京の蒲田にあるギャラリー「アート/空家 二人」は、「AI」をテーマにした展覧会「新しい嘘」を9月15日(金)~10月9日(月)まで開催する。
同展では、7組の気鋭のアーティストの作品が集まり、アートの未来を提示する。
めざましい発展を遂げるAI
近年、めざましい発展を遂げるAI。とりわけ高度な生成AIの登場は、衝撃的なものではないだろうか。対話によって様々なタスクをこなすChatGPTは、2ヶ月間で1億人のアクティブユーザー数を獲得したという。
こうした勢いの中で、人間の仕事がAIに代替されることを危惧する声もある。では、アーティストの仕事に関してはどうなのか。
歴史を振り返れば、写真、インターネットという技術が発明されたときも同様の懸念があった。しかし、アーティストはその度に創造の領域を拡張し、自分たちの新しい存在意義を示してきた。
今日のアーティストも、AIと向き合い、今までにない表現を生んでいくことだろう。
創作物は嘘からできている
「アート/空家 二人」は、アートや小説など、全ての創作物は嘘からできていると考えている。
絵画の中に人や物を見つけたとしても、それは目の錯覚であり、実際には平面に塗りつけられた絵の具でしかない。もちろん観客はそれを承知で鑑賞し、楽しんでいる。人間は、嘘であることを知っていて、それでも騙されることに喜びを感じる、不思議な性質をもつ。
私たちがChatGPTと会話をするときも、相手がプログラムだと知っていながら、あたかも人間に接するかのように話しかける。また、ChatGPTも人間らしく見えるような言葉を選び、返す。このように両者の間には、嘘の共有が成されている。
いわば、嘘を扱うことのプロフェッショナルであるアーティストは、この新しい嘘にどのように向き合うのか。同展では、7組のアーティストそれぞれが様々な方法でAIと対峙し、制作した作品を展覧会で鑑賞できる。
同展の出展作家は、内田涼氏、奥野智萌氏、GengoRaw氏、迫鉄平氏、だつおし、藤倉麻子氏+大村高広氏、Lokus Foundation。
同展では、詩作時の名義である青柳菜摘として第28回中原中也賞を受賞しただつお氏、2015年度写真新世紀グランプリの迫鉄平氏や、インドネシアの科学者とアーティストによるグループLokus Foundationなど、個性豊かなアーティストが一堂に会する。
新しい技術と、アートとの出会い。その可能性を垣間見れるかもしれない。
■「新しい嘘」概要
会場:アート/空家 二人
住所:東京都大田区蒲田3丁目10-17
開催日時:9月15日(金)~10月9日(月)11:00~19:00
定休日;火・水・木曜日 ※祝日営業
入場料:無料
「アート/空家 二人」公式HP:https://nito20.com
(鈴木 京)