日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県中之条町を写真とともに紹介する。
Vol.73/群馬県中之条町
四万川を北へ、すなわち上流に向かって進んでいくと、いくつか有名なスポットに出会う。ひとつは四万の甌穴群だ。甌穴とは川の流れが渦巻き状になり、侵食されてできた丸い穴のこと。四万の甌穴群は群馬県の天然記念物に指定されている。水量が多くて甌穴まではあまり見えなかったが、侵食された地形の自然美があった。
甌穴群からさらに北上し、やがて集落が見えてきたら、そこは四万温泉街だ。何度も名前は聞いていたけれど訪れるのは初めてで、温泉街を散策するだけでもワクワクした。
温泉街の中心部には、建物も温泉も有名な積善館がある。日帰り入浴も可能なので、入浴するつもりでもいたが、入浴料が1500円で、注意事項として千円札と小銭しか使えないようだった。ぼくはちょうど五千円札と一万円札しか持っておらず、「お前にはまだ早い」と、積善館さんではなく、お天道様に言われた気がした。いつか来るべきときに、またここに来たいものだ。
次回は、群馬県旧新治村(みなかみ町)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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