岡崎竜城スイミングクラブの子会社である、パワーストロークは10月1日(日)、インド・チェンナイにて水泳コーチを対象に水難訓練を実施した。
日印関係への貢献にも期待
パワーストロークは、10月1日(日)10:00より、チェンナイ市アクアティック・コンプレックスのダイビングプールにて、タミル・ナド州水泳協会登録コーチ約50名を対象に水難訓練を無償で実施。
このイベントは、在チェンナイ日本国総領事館、そしてタミル・ナド州スポーツ庁の後援のもと行われ、水害から命を守るだけでなく、新たな形の日印関係への貢献にも期待が寄せられる。
「陸でもできる水難訓練」を考案
パワーストロークは、50年以上の歴史を持つ、愛知県岡崎市に所在する岡崎竜城スイミングクラブを親会社として持ち、竜城スイミングがこれまで30年以上続けてきた着衣泳を含む水難訓練のカリキュラムを広めることに特化した一般社団法人だ。
2021年に設立して以降、地元・愛知県岡崎市の幼稚園や小学校にて、子どもを対象に水難訓練を行う他、企業向けに水難訓練を実施してきた。プールで行う着衣泳のみならず、コロナ禍、プールに足を運ぶことが難しくなったことに加え、プールがない地域や入水が困難な人に向けてプログラムの必要性を感じ「陸でもできる水難訓練」を考案。卓上で水難時の対応を学ぶことで、入水を要せずに必要な知識を身に付けることができる。
国内の活動に加え、パワーストロークはアメリカやシンガポールにも展開しており、この度インドでの活動を開始した。
国民の2/3が泳げないインド
多くの水害を経験するにも関わらず、国民の2/3が泳げないインド(※1)にて、水難訓練を行うことは水害時に失われる命の数を一つでも減らすために必須だ。
特に、2005年にスマトラ島沖地震を経験し8000人近くの犠牲を経験しているチェンナイは、サイクロンや大雨による洪水などを含む莫大な被害が多発している。しかしながら、水難に対する目立った対策はこれまで取られておらず、このままでは次に水害が起きた際に、また多くの命が失われることが想定される。
WHOの発表(※2)によると、インドでは毎年5万人近くが溺死しており、そのうち3割は15歳以下の子どもが被害に遭っている。人口比で見てみても、これは日本の3倍の数字。しかし国内での溺死に対する意識は低く、これまで十分な調査はおろか、水害時のプロトコールも存在していない(※3)という。
急激な経済成長を遂げているインドでは、中流階級の増加により「予防」への関心が高まっている。日本で積み上げられてきた経験値をインドの人と共有することは、これからも人口が増え続け、さらに地球温暖化により水難の増加が予定されている今、とても大きな意味を持つと確信している。
国内外で水難訓練が当たり前に行われる社会に向けて様々な取り組みを進めていくパワーストロークの活動を、この機会にチェックしてみては。
パワーストローク:https://powerstroke.or.jp/
グループ公式サイト:https://tatsuki-group.com/
※1 Swimming Skills Around the World, OECD. 2022
※2 WHO 2021, Regional Status Report
※3 Veetil, et.al, 2017
(江崎貴子)