日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧富士見村(前橋市)を写真とともに紹介する。
Vol.89/群馬県旧富士見村(前橋市)
旧宮城村に位置する三夜沢の赤城神社から、赤城山の山頂へ向かってぐんぐん登る。途中から風の冷たさが増し、痛い。カーブを進むごとに看板の数字が増えていき、なんと99まであった。ネットでは「酷道」「恐るべき道」などといった記載があったが、同じ気持ちだった(別ルートもある)。そして、今度は赤城山を道路で登り切った先にある、標高1300メートルを超える赤城神社を参拝した。そばに広がる大沼が、風を受けて波立っている。神社の駐車場近くはゴツゴツした岩もあり、除雪車が並び、巫女さんはベンチコートを羽織って境内を掃除していた。寒くて険しい土地であることが窺える。だからこそ、朱色の鮮やかな社殿には心を奪われる美しさと清々しさがあったのだった。
赤城神社を参拝したのち、旧富士見村の市街地まで下山していった。感覚としてはだいぶ下りてきたはずなのに、まだまだ小高いところにいる。前橋市街地を眺める景色は抜群だ。遠くかすんですこし青みがかった市街地が、右から左まで、ずーっと広がっている。その奥には別の山並みがシルエットを残し、まちを囲んでいる。なだらかな斜面だからこそ見える景色だ。すごいな、景色、すごいな、この地形を生み出した赤城山……とただただ思うばかりだった。
次回は、群馬県前橋市を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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