水鈴社は、現役医師であり作家の夏川草介氏による最新刊『スピノザの診察室』1,870円(税込)を、10月27日(金)に発売した。
著者は現役医師
同書の著者・夏川草介氏は、今も現役医師として地域医療に携わりながら、命と向き合う日々の経験をもとに、温かく誠実な筆致で物語を生み出し続けている。
最新作『スピノザの診察室』は、京都の市中にある地域病院を舞台にした作品で、町の人たちとの触れ合いを通じ、生きることの本質が深く優しいまなざしで綴られている。
『スピノザの診察室』のあらすじ
同書のあらすじをみていこう。
「雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医。30代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが…」というストーリーだ。
スピノザとは、17世紀オランダの哲学者のこと。この世界において人間は無力の存在であるとしつつ、”だからこそ”努力が必要と説いた人物だ。同作は、コロナ禍を経て、生きづらさや孤独、不安を抱える現代に、希望の明かりをともしてくれる一冊となっている。
夏川草介氏コメント
著者の夏川草介氏は、⻑野県にて地域医療に従事。作家としては、2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビューした。
夏川草介氏は、同書について‟医師になって二十年が過ぎました。その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。医療が題材ですが『奇跡』は起きません。腹黒い教授たちの権力争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました”とコメントを寄せている。
さらに‟今は、先の見えない苦しい時代です。けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません”と思いを語った。
書店員からのコメント
『スピノザの診察室』を読んだ書店員からは、‟医療現場の抱える問題、最先端医療のいま、そういったものも描きつつ、治療のあり方、ひいては人が生きること、死ぬこと。そういった哲学的な領域にもにた問いが投げかけらていて、胸に深く刺さりました。雄町哲郎という医師が、医療現場から見つめる先にあるものの深淵さ、尊さに知らずに涙が溢れていました。出会えて本当に良かったと思える作品でしたし、多くの人に出会ってほしい作品です”など、続々とコメントが寄せられている。
読書の秋、『スピノザの診察室』を手に取ってみては。
『スピノザの診察室』書籍詳細ページ:https://www.suirinsha.co.jp/books/detail11.html
(ソルトピーチ)