日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧伊香保町(渋川市)を写真とともに紹介する。
Vol.96/群馬県旧伊香保町(渋川市)
旧伊香保町、の言い方をせずとも、伊香保は言わずと知れた温泉街だ。数日前に榛名山を訪れたとき、伊香保の温泉街を通り過ぎたばかりだったので、今度は歩くことができてうれしい。関東地方からも遠すぎず近すぎずの距離感で、最後はゆるやかに坂道をのぼって温泉街にたどり着くことで、「温泉街に来た!」と実感が大きく湧く場所だ。
365段ある石段をのぼって、いちばん上にある伊香保神社まで行った。石段に今どれぐらいのぼったか段数が書いてあるので、ほかの観光客も「あともう少し」と言い合いながらのぼっている。
温泉街を歩き切ったあと、「黄金の湯館」で日帰り温泉に入った。自分の足で訪れたことで、より実感が湧く。一人で訪れてもこれだけ充実感があるのだから、友人やカップル、家族、誰と来ても楽しめることが、伊香保温泉の魅力ではないだろうか。
温泉街の近くでも、少し脇道に入ると一般の民家があり、洗濯物が干されていた。観光客からすれば見えない景色だけれど、ここにも暮らしがある。観光客と地元の人では、見えている景色は違う。それでも温泉に浸かれば、みんな同じ人間だよなあ、なんて思いながら。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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