日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、栃木県日光市を写真とともに紹介する。
Vol.108/栃木県日光市
いざ、日光市へ。日光東照宮には訪れたことがあるので、今回は奥日光を目指すことにした。奥日光にはまだ一度も行ったことがないので、有名な華厳滝と中禅寺湖が目標だ。カブでゆっくりと、標高1000メートル地帯へのぼっていく。
車に何台抜かれたかどうかわからないが、必死の思いで一方通行の上り坂をのぼりきった。途中、明智平で小休憩を取ったけれど、すでにここで見える景色も圧巻で、同じ日本なのかと驚いてしまう。のぼりきったあとは信号を右折して、まもなく華厳滝の駐車場に辿り着く。華厳滝や中禅寺湖の周辺は、赤茶色の建物がずらりと並び、雰囲気も賑やかだった。駐車場係のおじさんはバイクの対応も慣れていて、バイクも数台止まっていた。よくみんな、ここまで上ってくるなあと感心した。
華厳滝の入場料を支払い、案内係に誘導されてエレベーターを降りていく。降りた先では気温が数度は下がったぐらいひんやり感じられた。標高というよりも、日が当たるか当たらないかで気温が変わるのだろう。そして、さらに長い通路を進んだ先にいよいよ観瀑台が現れた。日本三名瀑とされる華厳滝が目の前にある。……圧巻だ。観瀑台を見渡すと、一本の巨大な滝のみならず、圧倒的な大自然の中にいることに気づく。ここに大自然があり、滝があり、その中にぽつんと自分がいる。という事象に、心を掴まれた。
中禅寺湖は日本で最も標高の高い湖だ。湖面の標高は1269メートル、男体山の噴火で原型ができたとされている。水深は最大163メートルというのも、高地にありながらのスケールの大きさに圧倒させられる。
快晴に恵まれて、男体山の姿もくっきり見えて嬉しかった。すごいところに滝や湖があるのだなあと、頭ではわかっていても、圧倒されるのであった。奥日光はほかにも、戦場ヶ原をはじめとするスポットがまだまだある。カブでの移動に限界を感じて、今回はここまでにしたけれど、奥日光に人々が集まる理由が、よくわかったのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247/