日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧夷隅町(いすみ市)を写真とともに紹介する。
Vol.151/千葉県旧夷隅町(いすみ市)
旧大原町から西へ進み、旧夷隅町へやってきた。まちのことを調べていた当初は、「夷隅」という漢字が読めなかった。しかし、「いすみ市のいすみだ!」と途中で気づいたのだった。旧夷隅町は太平洋に面しておらず、場所によって小さな丘陵地が分布しているが、夷隅川沿いには平野が広がっている。
まずは万木城址を訪れた。いすみ市の指定史跡である。十五世紀の中ごろから上総地域を支配した武田氏によって築かれたと考えられており、その後土岐氏が入部し、城や城下の整備が進められたそうだ。展望台に上がると、内陸らしい緑を中心とした風景が広がっていた。
その後、いすみポッポの丘へ向かった。定休日だったので入ることはできなかった。いすみ鉄道は生活の足としてのみならず、観光鉄道としても日々走り続けている。ダイヤの数も少ないことで、「急かし鉄道」ではなく、「癒し鉄道」なのだと。ちょうど、移動中にいすみ鉄道の踏切が鳴った。一両編成の黄色い車両が、やさしく通過していく。ああ、いいなあと。
そして、旧夷隅町は穏やかな田園風景も素晴らしく、何度もバイクを停めた。奥まで明るい水田が広がっている。田植えからまだ1ヶ月は経たないぐらいの水田だ。緑色の割合が増し、絨毯のようだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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