日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧海上町(旭市)を写真とともに紹介する。
Vol.163/千葉県旧海上町(旭市)
旧飯岡町から北へ進み、海上郡の旧海上町へやってきた。海上郡は「かいじょうぐん」と読み、海上町は「うなかみまち」と読む。慣れていないと、混ざってしまいそうだ。町域の東部には丘陵地や台地が広がっているものの、西部には水田地帯がひらけている。
まずは旭市海上庁舎へ訪れた。庁舎の文字が一瞬、「海上保安庁」に見えたり、三井住友海上」に見えたり、「海上」という文字は自分の身近なところに浸透しているのだなあと思った。
そして、周辺を散策すると野球場があり、試合中のようでハツラツとした声が聞こえてきた。野球に限らず、この地でたくさんの青春が繰り広げられていることを想像する。
それでも野球場を離れると水田がとても静かで、若い苗と水が張られた水田風景を、ぼんやりと眺めたのだった。
市街地へ訪れたあと、仙滝山と号する真言宗智山派の龍福寺を訪れた。弘法大師にゆかりのあるお寺である。周囲は深い木々に包まれており、本堂の裏には滝もある。お寺に訪れながらも、自然豊かな土地を歩いている感覚だ。
この日はしっとりした曇り空だったが、石段に生えている苔がいきいきと輝いて見えた。木々に囲まれた本堂も重厚な面持ちであり、屋根まで見上げると迫力十分だ。古刹の味わい深さを感じられたのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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