日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧大栄町(成田市)を写真とともに紹介する。
Vol.169/千葉県旧大栄町(成田市)
成田市は旧大栄町と旧下総町が、2006年に成田市へ編入合併して現在のまちがある。最初は旧大栄町にやってきた。およそ水田や畑作地帯が広がっており、時折丘陵地形のような景色も見える。町域の中央部には、利根川の支流である大須賀川が北へ流れていた。
そして、まずは円応寺というお寺へ向かった。「伊能子育て観音」とも呼ばれており、この周辺の地名が「伊能」であることに気付かされる。
円応寺は小さなお寺ではあったものの、庭の木々が葉先までとても丁寧に整えられておりとても清々しい。ちょうどおばさんが庭の手入れをされていたところで、「お参りですか?」とやさしく挨拶をしてくださった。やさしいお寺だ、そう思った。
さらに、国道51号線沿いにある成田市大栄支所へ向かった。支所と公民館が隣に並んでいて、どちらも立派だった。その施設の裏手には坂を下って広場のようなスペースがあり、近所に住んでいるのであろうお父さんと子どもが、二人で一緒に遊んでいた。その様子を遠目で見ているだけでも、微笑ましくなる。やがてこの子どもが大きくなって、「ここでよく遊んだなあ」ということを思い出せるならば、それは原体験であり、これ以上美しいことはないと思わずにはいられなかった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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