日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧御前山村(常陸大宮市)を写真とともに紹介する。
Vol.232/茨城県旧御前山村(常陸大宮市)
常陸大宮市は2004年に旧御前山村、旧美和村、旧緒川村、旧大宮町、旧山方町の5つの旧町村が合併して誕生した市だ。現在はひとつの市という印象が強いけれど、こうして細かく見ていくと、何か新しく見えてくるものがあるかもしれない。と、旧御前山村へ向かっていくと、那珂川沿いを中心にした集落が広がっていた。家々は川から少し離れた平地や、山の斜面に建っている。全体的に山に囲まれているものの、強い圧迫感があるわけではなく、丘陵地のようにも感じられた。そして、那珂川はその中でも空が広く、気持ち良く流れていた。
那珂川沿いの堤防工事の様子も印象的だった。那珂川は水戸市街地なども通過し、太平洋へ流れ出る川だ。栃木県を巡っていた際にも出会った川であり、そこで見た姿はとても雄大だった。場所は違えど同じ川としてつながっていて、暮らしに恵みをもたらしている。その上で、大雨が降ったときはどこで何が起きるかわからない。だから、旧御前山村でも堤防工事が進んでいることは、もちろん景観の話もあるけれど、いろんな考えがあって進んでいるのだなあと思ったのだった。御前山地域センターや総合運動公園が、やや小高い丘の上に建っていたことも、雨と関係があるのかもしれない。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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