日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧大宮町(常陸大宮市)を写真とともに紹介する。
Vol.236/茨城県旧大宮町(常陸大宮市)
これまで、常陸大宮市の旧市町村をすでに4つ訪れて、縦横無尽に駆け回っているわけではないけれど、常陸大宮市もいろんなまちが合併しているのだなということは、だいぶ感覚として知ることができた。そして、次に旧大宮町を訪れた。地名に「大宮」があるわけで、常陸大宮市の中でもいちばんおおきなまちだ。旧山方町を南下して、同じく久慈川沿いにある「道の駅 常陸大宮 ~かわプラザ~」と、常陸大宮駅周辺を散策することにした。道の駅のそばには久慈川が流れていて、川のそばまでやってきてぼんやりしている人もいれば、大きな木が一本目立つように立っていて、その木陰にベンチが置かれているので、ゆったり休憩している人もいる。自分でシートを敷いて昼寝している人もいた。ぼくも多少眠気があって、今日の行程はクリアできていたので、この大きな木のそばで昼寝したのだった。気づいたら1時間経っていた。なんて贅沢だろう。
道の駅から市街地へ向かい、常陸大宮駅の周辺を歩いていく。そのときにふと、見覚えのある看板が目に入った。年季の入った「SONY」とかかれた看板で、以前の市町村一周の旅で、この看板が見える形で写真を撮っていたのだ。その写真が記憶に残っていた。そして、あらためて目の前にある看板を見て、やがて確信に変わった。以前の旅で訪れたときも、ここに来たな、と。意識して訪れたわけではないから、余計に小さな興奮が冷めなかった。そして、過去の写真を後で振り返ってみると、今は「SONY」の「N」が無くなっていることに気づいた(「Y」はもともと無かった)。変わっていないけれど、変わっているのだなあと。そうして時間が流れている。今日もこれからも。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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