北九州市に本拠がある北九州・魚部(ぎょぶ)が刊行する北九州・魚部の生き物文化雑誌『ぎょぶる』最新刊12号では、五島列島最北端の宇久島を30pにわたり特集している。
また、宇久島の全1107世帯への寄贈を行う。
北九州・魚部が発刊
北九州・魚部は、1998年度に北九州市内の県立高校につくった部活動「魚部」が始まり。
2015年度に「誰でも参加できる」街の部活、市民の部活として市民団体となる。自ら調査活動をしてその成果や専門家の知見を活用し、生物多様性理解の向上を見据えて社会の身近な自然を見る目のボトムアップを目指す活動を続けている。
『ぎょぶる』とは、同団体が年に1回程度刊行する雑誌。
生き物文化雑誌を名乗り、自然や生き物、そこに暮らす人々との関わりをテーマにする特色をもつ。
特集では魚部が日本各地に出かけ、観光目線ではなくその土地ならではの自然や生き物の調査取材に加え、その地に詳しい専門家からの寄稿を掲載している。
同誌は「日本タウン誌・フリーペーパー大賞」(2017年度最優秀賞)、「生物多様性アクション大賞」(2017年度最優秀賞)を受賞している。
宇久島の住民に配布
同団体では2023年秋以降、宇久島を訪れ、緑と水が豊かで美しい島の自然やそこに生息する生き物たちに感動した経験をもつことから、各専門家の寄稿も得て、『ぎょぶる』最新刊の特集として取り上げることに。
身近にいながら地元でもあまり目に触れない島の宝物のような生き物たち。まずは島で知ってもらい、宇久島自慢の一つに加えてほしい、そして外から訪れる人々に紹介する材料になればとの思いがあり、同団体と宇久町観光協会とでどういう形がよいかを話し合った結果、今回の全世帯への寄贈が実現することになった。
宇久島の自然を形に残したい
今回の12号特集では、大分県別府市亀川で「人と温泉と生き物と」をテーマに活動する魚部が、温泉水の中に生息する「オンセンゴマツボ」を約60年ぶりに再発見し、その調査研究を進める一環で、宇久島にのみ生息する「ウクジマミズゴマツボ」の生息地を訪れたところ、島の緑や水の美しさ、生き物の豊かさに感動した。
魚部が感激した島の自然を形に残したいと思い、同誌最新刊の特集の地に決めたという。
この魚部が受けた感動を伝えようと、メンバーの一人で水生生物の専門家である専門家の中島淳博士による探訪記をはじめ、ウクジマミズゴマツボなど貝類の専門家である岡山大学の福田宏博士、五島列島のホタルの明滅が独自であることを解明した長崎大学の大庭伸也博士、長崎県で両生爬虫類の調査を重ね、島しょ部の生息状況にも詳しい松尾公則氏らが寄稿。
また、島民の生き物観・生き物観のインタビュー記事、島の生き物や自然の様子を紹介した記事など、あわせて全30pの特集になっている。
多様な自然と生物が生きる島の環境を、見て読んで学ぶことができる充実の内容。「魚部公式オンラインショップ」から現在予約を受付中だ。
北九州・魚部サイト:https://gyobu.or.jp
魚部公式オンラインショップ:https://gyobu.thebase.in
(鈴木 京)