山梨県北杜市の芸術文化施設「清春芸術村」は、「こどものための建築プロジェクト」をスタート。その第1弾として、施設内にこども向けの建築をつくり利用を開始している。
この建築は「遊びの塔(tower of play)」と名付けられ、建築家・内田奈緒氏が設計したものだ。これまで「清春芸術村」が力を入れてきた「アート」「建築」に加え、「遊び」の要素がプラスされた。これから迎える本格的なAI時代を前に、芸術文化と「遊び」という側面から、こどもたちの感性を育んでいきたいという。
「こどものための建築」プロジェクト
「こどものための建築」プロジェクトのコンセプトは、こどもがまず最初に触れる“建築”をつくること。AI時代を生きるこどもたちが「遊び」「建築」「アート」で感性を磨くことを目標としている。こどもたちに小さい頃から「本物の“建築”に触れてほしい」、また「“建築”という世界があることを知ってほしい」という思いからスタートした。
プロデューサーは吉井仁実氏(清春白樺美術館財団 理事長)、ディレクターは白井良邦氏(慶應義塾大学SFC 特別招聘教授)が務めている。
ディレクターの白井氏は、「これから本格的に到来するAI時代を生きていく子供たちにとって、感性を育むことはとても大切で重要になってきています。では感性はどのようにして磨かれていくものなのでしょうか。その答えのひとつは“遊び”の中にあると言えます(後略)」とコメントしている。
「遊びの塔(tower of play)」概要
「遊びの塔(tower of play)」の設計は、内田奈緒氏(nao architects office主宰)が担当。
設計期間は2023年9月~12月、制作期間は2023年12月~2024年3月だ。
「遊びの塔(tower of play)」の高さ(最頂部)は5メートルで、対象年齢は4~12歳。
建築家・内田奈緒氏は「(後略)この建築の中で、身を委ねる床と、外の景色との関係性を絶えず変化させながら、これからの時代を生きる子どもたちが身体いっぱい遊び、感性を育んでいってくれることを願います」とコメントを寄せている。
建築家紹介
建築家・内田奈緒氏は東京生まれ。 2010年より日本デザインセンター・原デザイン研究所にて空間、建築関係のプロジェクトに携わる。2016年、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。在学中にはスイス連邦工科大学(ETH)に留学している。修了後、デザインオフィス「nendo」に在籍し、国内外でインスタレーションや展覧会の会場構成、建築・家具のデザインを担当。現在は「nao architects office」を主宰し、建築や内装、家具等の設計に従事している。
「清春芸術村」について
「清春芸術村」は、清春小学校の跡地を活用し1980年に誕生した芸術文化施設。建築家・谷口吉生氏の設計による「清春白樺美術館」(1983年開館)や「ルオー礼拝堂」(1986年開堂)をはじめ、藤森照信氏の茶室「徹」(2006年完成)、安藤忠雄氏の「光の美術館」(2011年開館)、新素材研究所・杉本博司氏・榊田倫之氏のゲストハウス「和心」(2018年完成)など、敷地内には名建築が立ち並ぶ。
「遊びの塔(tower of play)」の完成を機に、「清春芸術村」を訪れてみては。
■清春芸術村
住所:山梨県北杜市長坂町中丸2072
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:年末年始・月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
入館料:一般1500円・大高生1000円・小中学生は入場無料
HP:https://www.kiyoharu-art.com
公式Instagram:https://www.instagram.com/kiyoharu.art.colony
(さえきそうすけ)