日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧会津本郷町(会津美里町)を写真とともに紹介する。
Vol.256/福島県旧会津本郷町(会津美里町)
旧南郷村から、旧会津本郷町を目指して進む。今度は60キロほど移動した。同じ会津地方でも、これだけ距離があるのかと思わずにはいられない。気づかないうちに標高1000m付近を走っていたりもした。6月下旬の午後、日差しはまあまあの暑さだったが、トンネルの中はとにかく寒いという具合だった。
いよいよ旧会津本郷町に入ると、広々とした会津盆地が広がっていた。さらに町並みへ入っていくと、道路が赤茶色になっている。消雪パイプによってできたサビだろう。サビをどう捉えるかにもよるけれど、この色の路面を見ると、雪国にいることを実感する。さらに、瀬戸町通りを訪れた。まちには会津本郷焼の窯元も複数ある。しかも、陶器と磁器の両方を製造していると。一種類の焼き物が特徴ではないという特徴だ。
向羽黒山城跡という場所にも訪れた。城跡を見る心づもりだったが、途中で気が変わってしまった。城跡への道から見える会津盆地の風景に心奪われたからである。ゆったりと壮大な山並みと、その手前に広がる市街地。伸びやかに並んだ田んぼたち。スケールの大きな盆地なのに、ほら、すごいだろう、ではなく、そっと、佇む優しさがある。会津の景色は好きだなあと、何度思ったかわからない。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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