日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧塩川町(喜多方市)を写真とともに紹介する。
Vol.264/福島県旧塩川町(喜多方市)
喜多方市街地から南へと進んでいくと、旧塩川町に入る。道中も夏の風景が続き、東には磐梯山へ続く山並みが見えた。平野からぐっと聳える山の姿は、実に迫力がある。
雄大な田園地帯を抜けて、御殿場公園へ到着した。菖蒲が咲いているという情報があったからだった。菖蒲のおよその見頃は6月と言われており、確かにその時期に関東で菖蒲を見ることがあった。だからすでに7月を迎えていたが、少し寒冷な旧塩川町なら、まだ花が咲いているだろうか、とギリギリの気持ちだった。
花は半分ほど盛りを過ぎてしぼんでいた。だが、まだ白や紫の花びらが咲いているのも見ることができた。完全に枯れてしまう前に、見納めの気持ちで。
市街地の路面はところどころ赤茶色に錆びていて、消雪パイプと冬の姿を思う。昔からの町並みの気配も残っていて、川舟も展示されていた。そばには日橋川があり、かつては舟運が栄えていたとわかる。舟運で栄えたことから、塩川は屋号とのれんの町でもあり、お店ののれんには見たことのない文字もあった。
ランドセルにカバーをかけた小学一年生たちが、列になって一斉に下校もしていた。カバーだけではなく、お揃いの黄色いキャップをかぶっている。その背中の数だけ、明るい未来がある。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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