日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧都路村(田村市)を写真とともに紹介する。
Vol.267/福島県旧都路村(田村市)
友人の住む葛尾村で一泊させてもらい、田村市の旧都路村へ。田村市は2005年に、5つの町村が合併してできたまちだ。高台からは集落と山並みが見え、その隙間には田んぼの緑が広がっていた。
市街地はまだ朝だったこともあるだろうけれど、流れていたのは静かな時間。しかし、場所によってこの朝よりももっと静けさを奪われてしまった空白の時間があることも、忘れてはいけない。
旧都路村の東側の地域は、福島第一原発から半径20キロ圏内に含まれ、かつて避難指示という理不尽な非日常に巻き込まれてしまっている。今は田村市であることから、都路という場所がどこにあるのか、少し見えづらい部分もあると思う。ぼく自身も言えることだった。旧都路村のことを、訪れるまで恥ずかしながら知らなかった。
しかし、ここをふるさととする方々がいる。市街地のプランターに書かれた「帰っぺ!! 結 都路」の文字を考える。現在、東部の避難指示は解除されている。当然のことながら、「元通り」なのではない。物事には可塑性がある。だからといって、「こうすべきだ」という答えを出すことは浅い偏見に過ぎない。
とにかく、今ここで流れている日常を、これからも忘れないことだ。と自分に言い聞かせる。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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