日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧常葉町(田村市)を写真とともに紹介する。
Vol.268/福島県旧常葉町(田村市)
旧都路村から西へ進み、旧常葉町へ。良い地名だ。まずは舘公園を目指す。ここには常盤城というかつての城跡が残っていると。小高い山をぐんぐんと登った先に、公園と城跡は広がっていた。
現在は常盤城の模擬天守が建っており、一見こぢんまりとした印象を受けたものの、城があった当時の地図を見ると、山全体を活用した山城になっていて、かなり大きな城だったのではないかと感じられた。
旧常葉町の町並みを眺めることもできた。曇り空に市街地が集中して浮かび上がって見える。そして今度はもう一度、この市街地へ降りていく。
中心街へ戻り、散策する。並んだ街灯にはカブトムシがデザインされていた。訪れた当時は休業していたものの、旧常葉町にはムシムシランドという昆虫のテーマパークがある。
その後、ハイリャンセという交流スペースを見つけて、「お気軽にどうぞ!」の言葉を信じて扉を開けてみる。
すると、館内では女性が障子のはりかえをしているところだった。少しお話もできた。常葉町を面白いまちにしようと生まれた交流スペースだと。
女性は常葉町の出身で、このまちには思い出がたくさん残っている。けれど、昨年常葉町で生まれた子どもは二人だったそうだ。若い人が流出してしまう、新生児が減ってしまう。そういった課題を抱える自治体は多いと思うけれど、わたしたちもできることをやっていくんだと。生まれ育ったまちで。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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