日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧大越町(田村市)を写真とともに紹介する。
Vol.270/福島県旧大越町(田村市)
旧滝根町から、旧大越(おおごえ)町へやってきた。大滝根川の支流である、牧野川を挟んで東西に広がるまちだ。5つのまちが合併して誕生した田村市において、最も面積の小さなまちが旧大越町だそう。ただ、市街地にはいわき駅から郡山駅を結ぶ磐越東線が通っており、二つ隣の駅は船引駅だ。船引は田村市の中心地で、距離を計算してみると、大越からは10kmほど。少し離れた郊外としての立地は、バランスが良いのかもしれない。
そして、まずは大越行政局を訪れてみる。周囲は空が広く、静かな時間が流れていた。その後、地元の神社である見渡神社へ。
見渡神社では急な石段を登り、ひっそり佇む境内で手を合わせた。小さな神社も含めれば、日本にはほんとうにたくさんの手を合わせる場所がある。それに、御神木の屋形という空間があり、「屋形」というのは同じく田村市にある、屋形のお人形様と関係があるのだろうか。と一瞬思ったものの、「屋形」の本来の意味の通り、御神木を大切にしているということなのかもしれない。
旧大越町は、道中の道がひらけていて、清々しく走ることができた。曇り空でなく青空だったならば、もっと感じる印象は変わり得る。地元の方々にとっても、いつもの車窓から見える景色の変化には、敏感なのではないだろうか。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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