日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県石巻市を写真とともに紹介する。
Vol.327/宮城県石巻市
昨日から石巻市に滞在していた。やはり市街地は大きなまちだ。石巻駅や旧北上川近くの町並みはすごく味があって、旧北上川に浮かぶ中瀬には「石ノ森萬画館」があった。
石ノ森章太郎は登米市の出身だけれど、中高生のころ頻繁に、石巻市の映画館「岡田劇場」へ自転車で2、3時間もかけて通っていたと。だからこそ、石巻市は第二のふるさとであり、萬画館の設立にも至ったそうだ。石ノ森萬画館は東日本大震災後で津波の大きな被害を受けたが、再オープン後は復興のシンボルとしての輝きもある。夕日を浴びる姿には力強さがあった。
ほかにも市街地の通りには、東日本大震災後のボランティアの方々の取り組みが紹介されていて、シャッターには「ありがとう、石巻人もがんばるよ!」とあったり。そうした出来事が、今に至るまでにほんとうにたくさんあったのだと感じられた。
滞在したゲストハウスのオーナーさんが、環境問題を意識するようになったのも、震災がきっかけだと仰っていた。
夕食には石巻焼きそばも食べてみた。目玉焼きが乗っていて、魚介系の風味で箸が進む。地元の食べ物はいつだって嬉しい。
そして、石巻市の旧市町村を含めた7つのまちを、これで全て巡ることができた。実は内陸の町もあったり、長細い牡鹿半島があったり、ひとつの市でありながらも広がっている景色は多様だ。市街地を中心に、いろんな暮らしの姿があることを忘れずにいたい。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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