日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧三陸町(大船渡市)を写真とともに紹介する。
Vol.333/岩手県旧三陸町(大船渡市)
宮城県気仙沼市から、いよいよ舞台を岩手県へ移し、大船渡市の旧三陸町を目指した。途中、大船渡市の市街地も通過したわけだが、順番として先に北側に位置する旧三陸町を訪れて、のちに大船渡市街地を巡り、その後、一関市へ向かっていくという行程だ。
気仙沼市から旧三陸町までは、下道でおよそ50km離れているので、移動は簡単ではなかった。陸前高田市も含めてリアス式海岸が続き、まちへ出るまでは山間部を走り、市街地が現れると海も見える、という地形だ。
そして、まずは「道の駅さんりく」へ。看板には「三陸名産わかめ」の文字が目立ち、店内では天然活あわびが水槽の中にいた。海の幸の豊かさには、心躍るばかりだ。
道の駅を訪れた後、三陸駅へ。言わずと知れた、三陸鉄道リアス線の駅だ。三陸鉄道は、いろいろな変遷を経ている。東日本大震災では甚大な被害を受け、人々に応援されながら復旧してきた。また、2019年10月13日に襲った台風19号の影響では、再び不通になるという苦労もあった。しかし、全線が開通した今は多くの人々を支えている。
駅の近くからは海と防潮堤が見えた。ぼくはこうした目に見えるものから情報を得ている。しかし、それで分かったふりをしてはいけない。この目の前の景色に至るまでに、いろいろな人々の苦労があったこと、その上で今ここにある日常は、とても尊いこと。いつか鉄道の旅もしたい。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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