「かりまん」を看板商品とする高林堂は、創業140年を迎える2025年1月に、新店舗「高林堂和菓子研究所」をオープンし、同敷地内で建設中の新工場の稼働を開始する。
それに先立ち、2023年よりDrifterの石田多朗氏、益子悠紀氏をコンサルタントに迎え、ブランドの再構築を進めてきた。今年7月には、社長・和氣康匡氏の「和菓子職人を子どもたちの憧れの仕事にしたい」という長年の願いから、新規事業「高林堂の和菓子教室」を本店で先行して開始。2025年2月より、新店舗にて本格的に始動する。
明治18年に栃木で創業
高林堂は明治18年創業より栃木で和菓子を製造販売している。
伝統的文化的和菓子、日常のおやつとしての和菓子、繊細な技術を駆使した芸術的な和菓子まで多岐にわたり作っている。
同社は、和菓子のもつ「日常性」と「芸術性」の2つの側面を大切にしながらこれから先の日常に和菓子や日本文化のある風景を残したいという思いがある。
四季折々の和菓子を学べるよう準備中
社長の和氣氏は、長年、製菓専門学校の講師、小学校でのお饅頭教室を行っている。
2017年~2018年にかけては、イギリスやシンガポールでの和菓子パフォーマンスやワークショップを精力的に行ってきた。2018年、2019年にはイギリスの豪華客船「クイーンエリザベス号」に和菓子初乗船を果たし、自身も和菓子実演、和菓子のアフタヌーンティ、ワークショップなどを実施。これらは全て「和菓子職人の仕事を子どもたちの憧れにしたい」という願いによるものだ。
2025年1月にオープンする「高林堂和菓子研究所」では、「高林堂の和菓子教室」が本格始動する。現在は本店で先行して「上生菓子編」を開催しているが、新店舗2階に本格的な教室を建設、四季折々の和菓子を学べるよう準備中だ。
講師は高林堂の職人集団
和菓子教室の講師は、高林堂の職人が担当する。普段はあまり表に出る事のない職人の技やこだわりを伝えていく。昨今、和菓子職人の減少は業界的にも深刻な問題となっている。
職人に舞台を用意し、表に出て仕事に誇りを持ってほしい、和菓子職人が増えてほしい、という願いもあるという。
「かりまん」のパッケージをリニューアル
ブランドの再構築として、パッケージブランディングにおいては、商品を7つのブランドに分け、デザインリニューアルを進めている。
7つのブランドは、社長・和氣の独自の世界観を映し出す「菓狂(かきょう)」、和菓子の芸術「JAPONE」、高林堂の歴史「高林堂」、日本の文化的伝統和菓子「暦」、伝統に自由な発想を加える「をかしや」、和洋の融合を追求する「A SO BI」、みんなに愛され続ける看板商品「かりまん」。
第1弾として、今年9月に、発売から15年目を迎えた「かりまん」のパッケージをリニューアルした。個装デザインはかりまんをモチーフとしたシンプルなデザインを基に、より親しみやすいロゴに生まれ変わった。
「かりまん」は、今も未来もみんなが食べたい身近なおやつ和菓子。子どももおとなも、袋に入ったかりまんを片手にワイワイと食べているような楽しいイメージで、Drifter益子悠紀氏がパッケージをデザインした。
箱の裏面には「かりまんが」。社長の繰り返す試作の日々と偶然の失敗から生まれたかりまん。その誕生秘話をまんがにした。更に裏のQRコードを読み込むと、社長と先代の大女将のかりまんにまつわるエピソードや、かりまん作りのこだわりのひとコマが。他にも「かりまん」という名前についての社長インタビューをYouTubeでみることができる。
1日2万個の販売実績をもつ看板商品
2009年に発売された「かりまん」は1日2万個の販売実績をもつ高林堂の看板商品だ。
今では全国的に広がった「かりんとう饅頭」だが、三角の羽を広げたようなパッケージスタイルは「かりまん」が初めてであり、「かりんとう饅頭」という和菓子の新ジャンルは「かりまん」が多くのメディアに取り上げられて爆発的にヒットしたことで生まれた。
2000年にわたる和菓子の歴史の中で、「かりんとう饅頭」は、昭和初期に誕生した「あんみつ」、昭和末期に誕生した「いちご大福」(フルーツ大福)以来の新ジャンルであり、全国の和菓子店、コンビニやスーパーでも販売されるおなじみの「和菓子」になっている。
「かりまん」を看板商品とする高林堂のブランド再構築を、この機会にチェックしてみては。
高林堂:https://www.kourindo.jp/kariman
Instagram:https://www.instagram.com/ko_rin_do_
YouTube:https://www.youtube.com/@%E9%AB%98%E6%9E%97%E5%A0%82-l6f/videos
(江崎貴子)