徳島県上板町に拠点を置く藍染工房「Watanabe’s」は、天然藍染を自宅で体験できる「蒅藍建てキット(ミニキット)」5,500円の一般販売を、12月19日(木)に公式サイトにて開始した。
注目される日本特有の「蒅」を用いた藍建て
近年、環境負荷の観点から自然由来の天然染めの需要が高まり、なかでも「ジャパンブルー」として日本文化と深い繋がりを持つ「藍染め」は多くの関心を集めている。
藍染めに使う染色液を「発酵」させてつくる工程は「藍建て(あいだて)」と呼ばれる。世界にはさまざまな材料や手法による藍建てが存在し、日本特有の「蒅(すくも)」を用いた藍建ては、日本の発酵文化や染色文化を象徴する技法として国内外から注目されている。
しかし、江戸時代には藍染めの技術と文化が庶民の生活に広く浸透していたが、現在は「伝統」という敷居の高さによって、閉鎖的で情報や技術が一般に伝わりにくい状況にある。
このような現状から、Watanabe’sは、「聞いたことはあるがよくわからない」「職人の行う難易度の高い技術」という世間のイメージを払拭し、より多くの人に楽しんでもらうため、「蒅藍建てキット」を5年の歳月をかけ、130回のテストを重ねて完成させた。Watanabe’sは、藍染めの材料である蒅の生産を自社で行う藍染工房だ。
発酵観察で子どもの自由研究にもおすすめ
「蒅藍建てキット」は、日本の藍染め職人たちが古くから行ってきた藍建て手法「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」を、子どもから大人まで誰でも自宅で体験でき、日本の藍染めについて、発酵の仕組みや過程を楽しく学ぶことに特化した商品だ。
染色液を藍建てし、順調に発酵が進めば2週間で染色できるようになる。染色時は、バンダナサイズであれば1分程度で天然藍での染色を楽しめる。アクセサリー、手芸材料の染色はもちろん、毎日の発酵観察で子どもの自由研究にするのもおすすめだ。
藍職人による説明動画や、よくある質問に対する動画解説、さらに職人の現場から届けられる最新情報を楽しめるYouTubeチャンネル「Watanabe’s-Laboratory」も用意されている。染色体験だけでなく、その発酵の様子を観察することで、日本の藍染め文化の奥深さを存分に感じることができる。
染色液を発酵させて好みのものを染める
キットは、藍建て材料の蒅50g、貝灰50g、ふすま50g、木灰100g入り。
ウェブサイト内よりダウンロードして使用できる記録用シートも用意されている。液量1.2L/容器1.5Lと持ち運び便利なミニサイズでありながら超本格的。自然由来の素材のため、使い終わった後の処理も困らないのもポイントだ。
まずは、染色開始まで2週間程かけて染色液を仕込む。各材料を規定量入れて混ぜ、毎日撹拌し、発酵状態を色でチェックする。発酵が進むと色がでて濃くなっていく。
染色液が十分に発酵したら、好みのものを染める。例えば、45cm角の綿100%バンダナをムラクモ染めする場合、染色液に数分浸し引き上げて十分に酸化させる。2〜3回水を変えながら優しく水洗いすれば完成だ。
染色だけでなく、記録用シートに日々の染色液の記録や変化を記入することで、観察を楽しめる。
1日に染められる量は、アクセサリー、糸などの手芸材料、バンダナ絞り染めなどのサイズのもの1点が目安。また、1日あたりの推奨染色回数の目安は2回まで。ミニキットでの平均的な合計染色枚数目安は、バンダナ5枚程度。ミニキットの使用期間目安は1〜3カ月を想定している。
染色液の発酵具合の維持管理が上達すればするほど、合計染色枚数目安はどんどん増えていくので、挑戦してみよう。
藍染めを十分に楽しみたい人には、ミニサイズのほか、「小サイズ15L用」「中サイズ30L用」「大サイズ60L用」も用意されている。
天然藍染を自宅で体験できる「蒅藍建てキット」を手に入れて、自分だけの藍染めアイテムをつくってみては。
Watanabe’s 公式サイト:https://watanabes.jp
Watanabe’s 公式Instagram:https://www.instagram.com/watanabes_japan
YouTubeチャンネル「Watanabe’s-Laboratory」:https://www.youtube.com/channel/UCizrZetkQZSUTtu0bN65D2Q
(山本えり)