
観光庁は第3回「サステナブルな旅アワード」の表彰式を、1月22日(木)に東京都内で開催した。
「サステナブルな旅アワード」創設の背景
国内旅行需要を埋める新たな需要として、インバウンド市場の開拓が重要となる中で、海外の旅行業界に目を向けると、サステナブル志向の高まりが顕著に現れ、旅行業者もサステナブルな旅行商品の開発に力を入れている。
こうしたグローバルトレンドを背景に、日本の観光地においても日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)への対応をはじめ、さまざまな取り組みが少しずつ広がりを見せている。この対応を促進していこうと2023年に創設したのが「サステナブルな旅アワード」だ。
富山の自然や暮らしに触れる「カイニョお手入れツアー」が大賞受賞

第3回「サステナブルな旅アワード」で大賞を受賞したのは、富山県砺波市・南砺市の富山県西部観光社水と匠の「カイニョお手入れツアー~次世代へ紡ぐ、散居村保全と循環型社会の再生~」。
「カイニョお手入れツアー」は、富山県西部·砺波平野に広がる散居村が舞台。水田に点在する伝統的古民家·アズマダチと屋敷林(カイニョ)が織りなす景観は、循環型社会と生物多様性を支えてきた。同ツアーでは、カイニョ整備の活動参加や剪定枝のアロマ抽出見学などを通じて、富山の自然と人が共につくり合ってきた景観、暮らしそして知恵に触れることで、旅人自身の再生と地域の価値を未来へつなげるというもの。
審査委員長の小林英俊北海道大学観光学高等研究センター客員教授は、「継続的な活動が地域住民の意識にも変化をもたらし、地域内外の関係者と共に散居村の保全を考える協議会を立ち上げ、文化庁の重要文化的景観や環境省の自然共生サイトへの認定申請を目指しています。郷土景観保全のための観光を活用した新たな循環する仕組みが少しずつ見えてきています」と高く評価した。

観光庁 田中賢二審議官(左)、村田長官(中央左)と林口氏(中央右)、小林英俊審査委員長(右)
大賞を受賞した富山県西部観光社 水と匠の林口砂里プロデューサーは、次のように受賞の喜びを話した。
「私たちにとって観光はあくまでも手段であって、目的は自分たちの地域の持続可能性や活性化です。散居村という先人が残してくれた貴重な資源を、CO2の吸収や防災・減災、生物多様性を保つエコシステムとして、先人の知恵を未来の方にもつないでいけるよう取り組んでおります。継続的な活動を通じて地域の方の意識が変わっていくことが何より嬉しく、今回このような賞を受賞させていただいたことで、私たちの地域の未来に光が差したような思いをしております(一部抜粋)」。
このほかの賞も含め、合計10団体が各賞を受賞。表彰式には村田茂樹観光庁長官が出席し、各受賞者に記念の賞状を手渡した。なお、表彰式の様子は後日ウェブサイトにて公開予定だ。
持続可能な観光に取り組む地域、施設などを拾い上げるアワード

村田茂樹長官
村田観光庁長官は挨拶で、同アワードの目的を次のように語り、受賞した10団体を称えた。
「本アワードは、持続可能な観光に取り組む地域、コンテンツ、施設など、地域全体の好循環なしくみづくりのモデルを拾い上げるとともに、業界内での横展開を図ることを目的としております。旅行業者と地域の多様な関係者との連携を強化し、わが国の自然、文化など、その土地ならではの魅力を活かした旅行商品の造成や販売を促進することで、旅行業者が観光地の持続可能性を支えるための取り組みを牽引していくことを期待しています」。
各地域の各団体の取り組みの、今後のさらなる展開に注目だ。
第3回「サステナブルな旅アワード」詳細ページ:https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/page06_00031.html
観光庁HP:https://www.mlit.go.jp/kankocho
(淺野 陽介)