
荒川温泉は、長崎県五島市玉之浦町の閉鎖した「地域福祉センター荒川温泉」を、温泉宿坊型デザイナーズホテル「HOTEL JIHONGAI(ジホンガイ)」としてリニューアルことを発表した。
2027年夏の温泉施設開業を皮切りに、2028年夏に全面開業する。
リニューアルの経緯
「地域福祉センター荒川温泉」は、廃業した旅館を市社会福祉協議会が引き継ぎ2011年に開所したが、老朽化などを理由に今春運営を終了することが決まっていた。
そんな「地域福祉センター荒川温泉」を引き継いだのは、MTG代表で五島市出身の松下剛氏。地域住民の強い存続要望があることを知った松下剛氏は、地元で数十年愛され続けてきた施設は必ず次世代に繋いでいくべきとの強い想いで、老朽化に伴う改装費用などを全額負担して支援することを決意したという。
そして今後この施設を運営する企業として、地元五島市などで宿泊施設や飲食店などを展開する桑田隆介氏と共に新会社「荒川温泉」を設立。松下剛氏は新会社の代表取締役会長に、桑田隆介氏は代表取締役社長に就任し、5月15日(金)に同施設のリニューアル構想を発表した。
松下剛氏は「五島は西の高野山と言われ、空海の聖地。そんな空海の軌跡や伝説が五島にはたくさん残っている。今年は空海生誕1250周年。ベンチャーのパイオニアでもある空海の精神を体験でき、地域や県外の方々が憩える活性化の拠点にしたい」とコメントを寄せている。
ホテル&温泉施設にリニューアル

ホテル名は、空海が遣唐使として日本を去るときに残した決意の言葉「辞本涯(じほんがい)」に由来している。
東シナ海を望む立地で遣唐使の偉業など、五島の歴史をコンセプトに据えた施設を目指すという。

吹き抜けのエントランス
館内は、ロビーが吹き抜けになっており、緑と光が溢れる開放感のある設計だ。

VIPルームからは夕日が見られる
客室は2階を中心に全20室規模。
「VIPルーム」には専用バルコニーと緑に囲まれた風呂を備え、ツインやシングル、ドミトリーも用意されており、多様なニーズに対応する。

リニューアルする荒川温泉、露天風呂やサウナも計画中

女性風呂は今の倍以上のスペースを計画中
温浴施設は、五島産玄武岩を使用し、開放的な露天風呂やサウナ、岩盤浴を整備。
工期中は一旦閉鎖となるが、リニューアル後も従来通り温浴のみの利用が可能だ。

カフェスペース

また、都市圏などからの企業研修も想定し、研修室やジム、カフェ、夕日を望むテラスも併設するとのこと。
工事を2期に分け、温泉施設は今秋着工、2027年夏開業予定。宿泊施設などは2028年夏完成を目指している。
設計担当は長坂常氏が率いるスキーマ建築計画

設計は、世界から注目を集める建築家・長坂常氏が率いるスキーマ建築計画が担当。長坂常氏は、1998年に東京藝術大学卒業後、スタジオを立ち上げ、現在は千駄ヶ谷にオフィスを構える。家具から建築、まちづくりまで、さまざまなスケールで、ジャンルも幅広く手掛けてきた。
どのサイズにおいても1/1を意識し、素材から探求し設計を行い、国内外で活動の場を広げている。既存の環境の中から新しい価値観を見出し「引き算」「知の更新」「見えない開発」など、独自の考え方で建築家像を打ち立てているそう。
代表作に、東京・清澄白河や京都・南禅寺参道の「BLUE BOTTLE COFFEE」のほか、「Sayama Flat」「桑原商店」「HAY TOKYO」「黄金湯」「狛江湯」「Aesop 青山・吉祥寺」「hotel jin」などがある。
五島市の魅力

五島市には、806年遣唐使から戻った空海(弘法大師)が滞在し、日本で最初の真言密教の講釈を行なったとされる西の高野山・大寶寺がある。

遣唐使の日本最後の寄港地として多くの関連史跡がある福江島は、弘法大師・空海が五島を最後に旅立ったことから、空海にまつわるゆかりの地として、伝説も多く残っている。
島中に点在する五島八十八ヵ所札所巡りでは、空海の軌跡にも出逢えるだろう。

福江島では、空海の命日に「お大師様」という伝統的なお祭りが受け継がれている。

荒川温泉から見える夕日

左から、桑田隆介氏、松下剛氏、長坂常氏
長崎県五島市に誕生する公衆浴場「荒川温泉」とデザイナーズホテル「HOTEL JIHONGAI」に注目してみては。
■HOTEL JIHONGAI(旧:地域福祉センター荒川温泉)
住所:長崎県五島市玉之浦町荒川130-2
(Higuchi)