
根津美術館は、企画展「やきもの名品紀行 ー中国・日本・朝鮮半島-」を8月15日(土)~10月12日(月)に開催する。館蔵品から選び抜かれた名品約110件を展示し、時を超えたやきもの探訪の旅へ誘う。
また、同時開催展「名物茶陶」では、茶人に評価された名物のやきものを展観する。
東アジアのやきものを巡る企画展
やきもの、すなわち陶磁器は、土を練り、形を作り、焼き固めて生み出される。古くから食器や貯蔵具、装飾品などとして人々の生活と深く関わってきた。やがてその中には実用を超えた豊かな美が見出され、鑑賞を目的とするものも誕生した。
同展では、2,300件におよぶ根津美術館の所蔵品の中から、鑑賞陶磁を中心に名品約110件を選りすぐり、東アジアにおける展開を紹介。展示室1では中国、展示室2では日本、展示室5では朝鮮半島のやきものを展観するとのこと。3つの展示室を巡ることで、海と時を越えたやきもの探訪の旅を体験できるだろう。入館料はオンライン日時指定予約で一般1,400円、学生600円。
展示の見どころ

青磁牡丹文水注・承盤 中国・北宋時代 11世紀 根津美術館蔵

重要文化財 五彩宝相華文瓶 景徳鎮窯 中国・明時代 16世紀 根津美術館蔵
展示室1に展示される中国のやきものは、1万年以上の歴史を誇り、唐三彩や青磁、白磁、青花といった革新的な技法で世界をリードし続けてきた。究極の精度と華やかさを追求した作品は、全世界を魅了している。
北宋時代(960~1127)の代表的な器種である「青磁牡丹文水注・承盤」(中国・北宋時代 11世紀)は、浙江省に所在した越窯系の水注と承盤。盤に湯を張り、水注に入れた酒を保温する役割がある。
「重要文化財 五彩宝相華文瓶」(中国・明時代 16世紀)は、赤と緑の絵の具で塗り詰め、金彩で牡丹文が加えられた絢爛たる長頸瓶。景徳鎮窯の民窯で発展した金彩が用いられ、堂々とした下膨れの姿が珍しい逸品だ。

重要文化財 銹絵染付金彩絵替土器皿 京都 尾形乾山作 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

色絵三果文稜花皿 肥前 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈
展示室2に並ぶ日本のやきものは、中国・朝鮮半島の技術を基礎としながらも、17世紀以降に飛躍的な発展を遂げた。素朴な土師器(はじき)から華やかな磁器まで、多様なやきものが好まれた点が特色である。
「重要文化財 銹絵染付金彩絵替土器皿」(日本・江戸時代 18世紀)は、琳派を代表する画家・尾形光琳の弟である尾形乾山(1663~1742)作の土器皿。手捏ねで成形された京都の土器皿に、鉄・呉須・金を用いて四季折々の自然が琳派のデザイン感覚で描かれている。
「色絵三果文稜花皿」(日本・江戸時代 17~18世紀)は、乳白色の地に吉祥を意味する三果文(桃・柘榴・仏手柑)を鮮やかな色絵で描く。左右非対称の構図は日本人好みとされ、欧州へ輸出された柿右衛門の最盛期の作といえる。

粉青象嵌牡丹文厨子 朝鮮半島・朝鮮時代 15世紀 根津美術館蔵

青花草花文壺 広州官窯 朝鮮半島・朝鮮時代 18世紀 根津美術館蔵 秋山順一氏寄贈
展示室5に展示される朝鮮半島のやきものには、清らかさと実用性を尊ぶ美意識が反映されている。優雅な高麗青磁、力強い粉青(ふんせい)、質朴な白磁には、陶工の自然な作陶から生まれた美しさが満ちている。
「粉青象嵌牡丹文厨子」(朝鮮半島・朝鮮時代 15世紀)は、土を彫って、白土で埋め文様をあらわす技術・象嵌が特徴だ。象嵌は朝鮮半島のやきものに多用された技術だが、仏像などを納める厨子の作例は珍しく、貴重な一点である。
「青花草花文壺」(朝鮮半島・朝鮮時代 18世紀)は、三方向に十字形の花弁を持つ花(水仙・桔梗・仙人草などの説あり)や菊、蘭を描いた壺。朝鮮時代後期には、清々しい白地に呉須による清楚な青花文様が主体となった。
同時開催展と関連催事
展示室6では、同時開催展として「名物茶陶」を開催する。
茶の湯において古くから由緒のある優れた道具を指す「名物」の中から、「重要文化財 青井戸茶碗 銘 柴田」など、茶人に評価されたやきものを展観する。

重要文化財 青井戸茶碗 銘 柴田 朝鮮半島・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵
「重要文化財 青井戸茶碗 銘 柴田」(朝鮮半島・朝鮮時代 16世紀)は、戦国武将・柴田勝家が主君の織田信長から拝領したと伝わる茶碗。端正な姿と淡い枇杷色が特徴で、青井戸の名品として知られているという。
会期中には、担当学芸員によるスライドレクチャーや、所蔵の陶片を実際に手に取って観察できる特別企画「陶片をもってみよう」も開催される。詳細は根津美術館公式HPで確認できる。参加は無料だが、別途美術館入館料が必要だ。
東アジアの名品から茶人に愛された名物までが一堂に会する機会に、根津美術館で「やきもの」の世界を堪能してみては。
■企画展「やきもの名品紀行 ー中国・日本・朝鮮半島-」
開催日時:8月15日(土)~10月12日(月)10:00~17:00 ※最終入館は16:30まで
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6‐5‐1
休館日:毎週月曜日、9月24日(木) ※9月21日(月)、10月12日(月)は開館 ※休館日は、庭園、NEZUCAFEを含む全館休館
入館料:オンライン日時指定予約は一般1,400円、学生600円/当日券は一般1600円、学生800円
公式HP:https://www.nezu-muse.or.jp
(Kanako Aida)