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【開催報告】「ムーンショット目標5 進捗・成果報告会」を開催しました

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研究開始7年目、8つのプロジェクトが社会実装・事業化に向けた最新成果を報告

2050年、90億人がおいしく食べ続けられる社会へ
「ムーンショット目標5 進捗・成果報告会」を開催

研究開始7年目、8つのプロジェクトが社会実装・事業化に向けた最新成果を報告

生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)は、2026年8月28日(金)、東京国際フォーラム ホールD5およびZoomウェビナーにおいて、「ムーンショット型農林水産研究開発事業(MS目標5)進捗・成果報告会」を開催しました。ここに当日の模様をご報告します。
当日は研究者、事業者、行政関係者、一般参加者などが会場・オンラインから参加。培養食料、環境変化に強い作物、土壌微生物、害虫防除、牛由来メタンの削減、昆虫資源、AIを活用した未来型食品、食品の長期保存という8つの研究開発プロジェクトについて、これまでの成果と社会実装に向けた最新の取り組みが紹介されました。

ムーンショット目標5 進捗・成果報告会 開催の様子

研究成果を社会実装・事業化へつなぐ段階に
ムーンショット目標5は、未利用の生物機能などを最大限に活用し、2050年までに地球規模で「ムリ・ムダのない持続的な食料供給産業」を創出することを目指す研究開発プログラムです。
世界的な人口増加や気候変動、資源制約、食品ロスなど、食料をめぐる課題が一層深刻になる中、食料の増産と地球環境の保全を両立する新たな仕組みが求められています。
吉澤史昭プログラムディレクター(宇都宮大学 総括理事・副学長)は、「もう一度、月を見上げる―2030年目標達成に向けた軌道修正と加速―」と題して講演。研究開始から7年目となる2026年を重要な節目と位置付け、2030年までのプロトタイプ開発・実証と、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)への対応を並行して進める方針を示しました。
また、人々が望む2050年の食と農の姿を「ビッグピクチャー」として描き、そこから逆算して研究の方向性を確認しながら、社会実装・事業化に向けた取り組みを加速させる必要性を強調しました。

8つのプロジェクトが報告した主な成果・進捗
1.循環型の培養食料生産
清水達也プロジェクトマネージャー(東京女子医科大学)は、藻類由来成分を動物細胞培養の栄養源として利用し、培養で生じる老廃物を再資源化する「Circular Cell Culture(CCC)」を紹介。穀物や動物血清への依存を減らす循環型培養と、低環境負荷な培養食料生産システムの実現に向けた進捗を報告しました。
2.環境変化に強い作物を迅速に開発
藤原徹プロジェクトマネージャー(東京大学)は、サイバー空間で作物を設計し、実環境で検証する新しい育種技術について報告。従来は長い年月を要していた育種を短縮し、優れた性質を持つイネを約2年で作出するなど、環境変化に強い作物の迅速な開発に向けた成果を紹介しました。
3.土壌微生物をAIで読み解く
竹山春子プロジェクトマネージャー(早稲田大学)は、農業に関する土壌微生物データベースである「農業土壌微生物叢アトラス」やその利用状況を紹介。土壌の健康状態を診断し、必要な微生物や循環資材を活用する技術について、久米島などのLiving Labで進める実証状況を報告しました。
4.化学農薬に依存しない害虫防除
日本典秀プロジェクトマネージャー(京都大学)は、レーザーによる害虫防除技術、高機能な天敵の育成、昆虫の共生微生物を利用した害虫密度の抑制などを紹介。複数の技術を組み合わせ、化学農薬への依存を減らす新しい害虫防除体系の社会実装を目指します。
5.牛由来メタンの削減と生産性向上
小池聡プロジェクトマネージャー(北海道大学)は、牛の第一胃に生息する微生物群を制御するメタン抑制資材や、胃内環境をリアルタイムで計測する「スマートピル」、AIによる個体差解析について報告。2030年までに牛群レベルでメタン50%削減、2050年までに80%削減と生産性向上の両立を目指します。
6.昆虫による未利用資源の循環
由良敬プロジェクトマネージャー(早稲田大学)は、農業残渣や食品廃棄物を昆虫によって有用なタンパク質へ転換する研究を紹介。アメリカミズアブの養魚飼料化、オオシロアリの養鶏飼料化、コオロギの食品利用など、地上から宇宙までを見据えた循環型食料生産システムの構築を進めています。
7.人と地球をともに健康にする未来型食品
高橋伸一郎プロジェクトマネージャー(東京大学)は、魚の非可食部や食害魚、食品副産物などを対象に、食後の健康応答と環境価値をAI・DXで数値化する取り組みを報告。科学的根拠に基づく「Planetary Health Food」の開発、地域実証、事業化を一体的に進めています。
8.未利用食材を長期保存可能な食品へ
古川英光プロジェクトマネージャー(山形大学)は、LNGの未利用冷熱を活用し、農水産物を低温で凍結・粉砕して長期保存する「COOLD FOOD」技術を紹介。テストプラントでの実証、国際標準化、地域循環、輸出などを視野に、フードロス削減と食料安全保障への貢献を目指します。

吉澤史昭プログラムディレクター

基礎研究をイノベーションにつなげる条件を議論

菅裕明教授による招待講演
招待講演では、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授が「基礎研究からイノベーションへ―夢なきものに成功なし―」と題して講演しました。
特殊ペプチド研究とペプチドリームの創業経験をもとに、研究成果の価値を社会へ届けるための知的財産戦略、技術ライセンス、利益相反管理、研究者と経営人材の役割分担などについて紹介しました。

続くパネルディスカッション「研究成果を事業に結びつけるには」では、8名のプロジェクトマネージャーや事業化経験者らが登壇。研究者とビジネス人材が共通の目標や情熱を共有すること、論文発表と特許出願の順序を適切に判断すること、組織や分野をつなぐ「触媒人材」を育てること、当初から海外展開を見据えることなどについて意見を交わしました。


パネルディスカッション

ポスター発表と産学連携相談も実施
講演と並行して、各プロジェクトの研究担当者によるポスター発表を行いました。参加者は研究者から成果や今後の計画について直接説明を受け、活発な質疑や意見交換が行われました。
産学連携相談では、共同研究や実証、技術導入、事業化などに関する個別相談を実施し、新たな連携につながる交流の場となりました。

ポスター発表の様子

ポスター発表の様子

今後に向けて
BRAINは、ムーンショット目標5において、2030年までのプロトタイプ開発・実証と社会実装、さらに2050年の世界展開を見据え、企業や生産者、行政、生活者をはじめとする多様な関係者との連携を強化していきます。
今回の報告会で得られた意見や交流を今後の研究開発と事業化に生かし、「90億人がおいしく食べ続けられる社会」の実現に向けて取り組みを進めます。

開催概要
名称:ムーンショット型農林水産研究開発事業 進捗・成果報告会
日時:2026年8月28日(金)9:30~16:50
ポスター発表・産学連携相談:17:30まで
会場:東京国際フォーラム ホールD5
形式:ハイブリッド形式(対面・Zoomウェビナー)
主催:生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)
共催:内閣府
後援:農林水産省、農林中央金庫
関連情報
開催案内
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/moon_shot/news/2026/176944.html

ムーンショット目標5を支える8プロジェクトの紹介
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/moon_shot/index.html

当日の講演要旨
https://www.naro.go.jp/brain/moon_shot/MS_20260828_youshi.pdf

お問い合わせ先
生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)※研究推進法人
担当:事業推進部 戦略的研究開発課
E-mail:seiken-moonshot@ml.affrc.go.jp
株式会社映音企画 ムーンショット目標5成果報告会 運営事務局
E-mail:info"AT"eion-inc.jp

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