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株式会社グッドフェローズ

大手電力に「ダンピングでは?」の声も。対新電力顧客のみに原価割れ提案

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未だ不自由な電力市場、需要家に格差をもたらす3つの問題点

次世代エネルギー業界の発展のための調査研究及び広報活動などを行う「タイナビ総研」を運営する株式会社グッドフェローズ(本社:東京都品川区、代表取締役:長尾 泰広)は、特別高圧(特高)・高圧の電力小売事業を展開する新電力(小売電気事業者)16社を対象にアンケート調査を実施した。その結果、新電力の仕入れ原価よりも低い単価での大手電力による値下げ交渉など、大手電力と新電力の攻防にある3つの問題点が浮き彫りとなった。

■調査概要:特別高圧・高圧の電力小売事業に関するアンケート調査
■有効回答:特別高圧・高圧の電力小売事業を展開する新電力担当者16名
■調査方法:インターネットによるアンケート調査
■調査期間:2017年6月16日~2017年6月21日
■タイナビ総研 : http://www.tainavi-soken.com/

◆新電力シェアは全体で8.6%。高圧・特別高圧分野、2年で2倍に急成長。
2016年4月に電力小売全面自由化が始まり、2017年3月時点で299社の新電力が電力供給を開始した。(電力調査統計 平成28年度電力需要実績より)電力自由化から1年で、一般家庭を中心とした低圧分野の切り替え率は5.5%、全国342万世帯が電力会社やプランを変更した。特高・高圧分野の小売り自由化の1年経過後のシェアが0.3%だったことと比較すると、低圧分野は特高・高圧分野を大きく上回るペースでシェアを伸ばしている。

一方、低圧分野の自由化の影響を受け、主に法人が対象となる特高・高圧分野の電力会社切り替えも活発だ。資源エネルギー庁の調査によると、特高・高圧分野における新電力のシェアは部分自由化の開始から10年以上にわたり2~3%ほどにとどまっていたが、『電力自由化』という言葉が普及し始めた2015年から今年1月までに約12%までに成長、2年で2倍以上にシェアを伸ばした。家庭・法人問わず、『新電力への切り替え』という言葉が一般的になり始めた。

◆大手電力の逆襲。新電力各社から非難殺到!?
こうした新電力シェアの拡大に対し、大手電力も黙ってはいない。顧客を取られる側として顧客の引き留めと取返しに必死だ。関西電力は高浜原発の再稼働に合わせて値下げを行うことを発表し、8月以降の供給を見越して一斉に営業活動を実施している。関西電力・中部電力・北陸電力の3社は送配電部門の連携強化を発表するなど、各社コスト削減などの企業努力により価格競争力の向上に努めている。こうした健全な価格競争の半面、大手電力の割引の仕方に対し、新電力からは「ダンピング(不当廉売)ではないか?」との声が上がっている。

その1:新電力の原価割れの大幅割引提案

高圧向け電気料金一括見積もりサイト「タイナビスイッチビズ」は、新電力16社を対象にアンケート調査を実施した。その結果、すべての企業が大手電力からの値下げ交渉と対峙したことがあると回答し、そのうちの87.5%が大手電力の提示金額が「自社の仕入れ原価よりも低かったことがある」と回答した。ある新電力担当者は、「利益ほぼゼロの提案に対して、削減率が倍以上の提案があった」と、破談になった悔しさを語った。一部エリアでは大手電力の営業が需要家に対し、「新電力の見積りを開示すれば、より低い金額にするので必ず連絡をするように」と事前に伝えているというのだ。
新電力の多くは、日本卸電力市場(JEPX)や発電事業者から電力を調達し、大手電力に託送料金を支払った上で電力を販売している。そのため、多くのベース電源を保有する老舗の大手電力が大幅に値下げを行うと太刀打ちできないのが実情だ。

その2:解約手続き後に値引き交渉、送配電分離の不完全さ
経済産業省では2018年~2020年にかけた法的分離に向けて、送電部門を担う大手電力が新電力に不利な扱いをすることのないよう、送配電部門と小売り部門を経営的に切り離して運用するよう求めている。旧東京電力株式会社は2016年4月から分社化し、「発電・送電・小売」の3事業の中立性・公平性を確立した。また、各社分社化まではしないものの、3事業の担当部署の建物を分けるなどして分業を進めている。しかし新電力からは、解約手続きの際に送配電部門から小売部門に情報の共有がされているのではないかという疑惑が出ている。

「大手電力からの値下げ交渉が入ったタイミング」について質問をしたところ、半数が「大手電力(の送配電部門)へ解約手続きをした後」に交渉が入ったと回答した。申込の意志を固め、切替手続きを進めている需要家に対し、新電力が提示した金額を大幅にくぐる見積額を提示し、引き留めに入るのだ。新電力各社からは「見積検討時ならまだしも受注手続きのタイミングは営業活動を無に帰す妨害行為だ」「自由化の根底が崩れる」「フェアな営業活動をお願いします」と多くの声が上がっている。
需要家からすれば、申込書の提出などの面倒な事務手続きを行うことなく、これまで通りの電力を安く購入できるのであれば、わざわざ新電力に変えようと思うほうが珍しいだろう。従来電力供給を担ってきた大手電力には、【信頼・価格・手続き不要】と3つのメリットが存在することとなり、電力自由化で新規参入した新電力は、常にとてつもなく大きな壁に立ち向かうことになる。

その3:大口顧客だけが大幅割引の恩恵を受諾? 不当廉売の可能性も
「大手電力による値下げ交渉が入ったことのある契約電力の中で最も多い容量」を質問したところ、81%が500kW以上と回答した。この調査結果から、契約電力が500kW以上で使用電力量の多い、いわゆる“高圧大口”に対して値引きを行い、使用電力量の少ない法人にはあまり値引きを行っていないことがわかる。
つまり小口顧客には公表している従量単価で請求し、大口顧客だけが非公開の大幅値引きの恩恵を受けているのだ。先に述べたように、新電力から見積もり提出があった顧客に見積額を開示させたり、切替の意志を固めた顧客に値引き交渉をしたりして、競合他社と対峙した顧客に対してのみ、決め打ちで競合の仕入れ原価よりも安い金額で販売したというなら、不当廉売(ダンピング)に当たる可能性もあり、独占禁止法に違反する恐れもある。もちろんこのようなことが続けば、市場は大手電力に独占され、健全な競争は起こらなくなってしまうだろう。使用電力量の多い大口顧客を逃したくないというのは営利企業にとって当然のことだが、割引を受けていない顧客にとっては全くフェアではない。

◆未だ“不自由”なままの電力市場。健全な電力市場構築のための法整備を。
北海道電力は6月30日、新電力からの“出戻り”で再契約した需要家に対して、他の需要家には提供している割引サービスを1年間提供しなかったとして、独占禁止法に違反する恐れがあると公正取引委員会から警告された。このような状況では、“電力自由化”はいつまでも“不自由”なままだ。真の意味での“電力自由化”を成功させるには、独占的な取引が横行しないよう、規制と監視体制を設けるなどきちんとした法整備が必要である。タイナビ総研は、今後も中立な立場から現場の生の声を世の中に発信するとともに、関係官庁に提言をし、健全な電力市場の構築のために尽力していく。

■タイナビ総研について
タイナビ総研( http://www.tainavi-soken.com/ )とは、株式会社グッドフェローズが再生可能エネルギー関連をはじめとするガス・電気エネルギー業界の発展のために、調査研究及び広報活動を行うことを目的として設立した組織です。太陽光発電の導入や電気料金の切り替えを実施もしくは検討した会員からインターネットを通じてリアルな声を集め、調査し、ユーザーの声を社会に発信する活動などを行う以外に、「タイナビ発電所」( http://www.tainavi-pp.com/ )や「タイナビスイッチ」( http://www.tainavi-switch.com/ )のユーザーや登録店を対象としたセミナー企画もサービス化。セミナー開催から運営まで、オールインワンのサービスを実施しています。

<過去のタイナビ総研のマーケットリサーチはこちら>
http://www.tainavi-soken.com/research/

【 「タイナビスイッチビズ」 サービス概要】
名称  : タイナビスイッチビズ
サイト : https://www.tainavi-biz.com/
事務局 : 株式会社グッドフェローズ内
事業内容: 全国の高圧・特別高圧の電気料金を比較できる高圧電気料金一括見積もりサイト

【会社概要】
名称 : 株式会社グッドフェローズ
所在地: 東京都品川区西五反田7-17-3 五反田第二長岡ビル3階
代表者: 代表取締役 長尾 泰広
URL  : http://www.goodfellows.co.jp/

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