能登半島地震の洗濯支援経験から生まれた、人と環境にやさしい”重珊水”と“洗濯衛生インフラ”構想、自治体と実証実験に向けた取り組み
コインランドリー専門会社であるファミリーレンタリース株式会社(東京都八王子市)は、災害時でも継続的に洗濯が可能な洗濯水循環システム「オーシャンループシステム」(Ocean Loop System、以下 「OLS」という)に関する特許を取得したことをお知らせいたします。
当社は、能登半島地震における洗濯ボランティア支援活動を通じて、「洗濯ができないこと」が被災地の衛生環境や生活負担に大きな影響を与えることを実感しました。
断水時には、ランドリー設備があっても、水が供給されなければ洗濯を継続することはできません。
その経験を踏まえ、『災害時でも洗濯を止めない』という考えのもと、洗濯インフラそのものを見直してOLSを開発しました。

能登半島地震のボランティア支援、洗濯待ちの行列。1日(約6時間)150世帯の洗濯を実施。
【特許情報】
特許番号:特許第7854757号
本特許は、独自開発した洗濯水を循環再利用し、洗濯用途に適した水質環境を維持管理する洗濯水循環システムに関するものです。洗濯排水を濾過・殺菌・水質管理しながら循環利用することで、継続的な洗濯環境の維持を目指しています。
【OLS特許技術の特徴】
OLSは、洗剤会社と共同開発したコインランドリー専用の洗濯水「重珊水(じゅうさんすい)」を循環再利用する仕組みです。
重珊水とは、海や自然環境・人への配慮を目的として開発された、重曹(炭酸水素ナトリウム)をベースにした弱アルカリ性の洗濯水です。一般的な汚れには酸性汚れが多く存在するとされており、弱アルカリ性の洗濯水はそのような汚れに対して洗浄効果が期待できます。
洗濯排水は、バックフィルター・オゾン・UV(紫外線)・ゼオライト・活性炭・珊瑚砂・ヒーターなどを用いて濾過・殺菌・水質管理しながら循環させ、再び洗濯水として活用します。
濾過・殺菌処理について、バックフィルターは、最小0.5μm程度と細かいため、繊維くずやマイクロファイバー、濁りの原因になる微細な粒子まで物理的に取り除きます。これで水をきれいにすると同時に、後段のオゾン・UV処理にかかる負荷を減らす役割があります。オゾンは、強力な酸化力を持ち、除菌、消臭、ウイルス不活化、水の透明度を下げるなどに効果があり、UV(紫外線)は、一般細菌や大腸菌などを殺菌する効果があります。オゾンやUVの組み合わせは、上水道処理・プールなど業界で広く採用されている技術を応用しています。
珊瑚砂は、主成分である炭酸カルシウムが重珊水のpHを安定させる天然の緩衝材として機能し、水質維持を支える役割を担っています。
さらにOLSでは、公衆浴場などで用いられる水質管理基準を参考とした管理を目指し、pH・濁度・色度・水温などをオンラインで常時監視できる水質管理システムを採用しています。水質状況はリアルタイムで確認・管理することができ、一定基準を超えた場合には重珊水を交換することで水質維持を図ります。
OLSは、水を単に再利用する設備ではなく、「洗濯に適した水質環境を維持しながら循環させる」という考え方を特徴とした洗濯水循環システムです。

重珊水をバックフィルター+オゾン+UVの簡略循環フロー図。
重曹は「炭酸水素ナトリウム」という弱アルカリ性の白い粉末で、掃除や料理、消臭、入浴剤の成分など幅広く使える安全な物質。
珊瑚砂は「炭酸カルシウム」というpHを弱アルカリ性に保ち、安定した水質を維持する天然成分のろ過材。
【OLSの特徴】

重珊水は、重曹と珊瑚をイメージした自然由来の洗濯水という造語。
■ 重珊水を循環再利用 能登半島地震の洗濯ボランティア支援の際に、洗剤の代わりとして無償で重曹を提供してくれた洗剤会社と共同開発。人と環境にやさしい重曹(炭酸水素ナトリウム)をベースにした弱アルカリ性の洗濯水を使用し、濾過・殺菌・水質管理を経て繰り返し活用します。
■ 公衆浴場基準を参考とした水質管理
pH・濁度・色度・水温などをオンラインで常時監視し、定期的に重珊水を補充・交換することで水質を維持管理しています。
■ 処理能力は1日最大24t(24,000L)を想定、水消費量を抑えた運用
限られた水資源でも継続運用を可能にする設計としています。例えば、洗濯1回あたり100L程度を想定すると、1日最大約240回洗濯が可能です。
■ 災害時の運用を想定
【車両】災害対応車両として、ランドリー用コンテナとインフラ用コンテナを被災地への移動・設置。
【ガスと電気】LPG(プロパンガス)とLPG発電機を使用し、ガスと電気を確保。
【水】重珊水を給水車で運搬することで自立した洗濯環境を整備。
■ 平時と災害時を両立
平時は地域のコインランドリーとして運営し、災害時には洗濯衛生設備として機能します。
※平時は、上下水道や電気を使用し、災害時にOLSシステムに切り替えが可能です。
【開発者 兼 クリーニング師 鈴木 康夫】
衣類の洗浄力は、一般的に洗剤の成分・性能(化学作用)と洗濯機の水流・水量(機械作用)のバランスで決まります。OLSでは、化学作用と機械作用に加え、水温を40度程度に維持しており、油汚れだけでなく、一般的な汚れは温度が高いほどよく落ちるため、ヒーターを搭載しています。機械作用については、業務用ランドリー機器を採用しすることでドラム式の特徴である”たたき洗い”にすることで少量の水でも効率的に衣類を洗浄します。
共同開発した重珊水は、弱アルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)をベースとしており、一般的に洗剤の補助剤や入浴剤としても広く用いられる成分で、油汚れや酸性汚れに対して洗浄効果を期待できます。こうした組み合わせにより、OLSは、弱アルカリ性の重珊水、温水、業務用ランドリー、水質管理技術を組み合わせた洗濯衛生インフラシステムであり、洗剤単体の性能を代替・比較することを目的とした技術ではありません。災害時に大量の水と洗剤を消費せずに、被災地で多くの方が使用できる洗濯環境を開発しました。今後は第三者機関による実証実験を行い、実用化に向けて開発を進めています。
【官民連携による運用モデルを想定】
OLSは、※緊急防災・減災事業債等の財政措置を活用し、自治体の実質的な負担を大幅に抑えながら導入できる官民連携型の洗濯衛生インフラです。平時は当社が管理・運用を行い、災害時には避難所・被災地域における洗濯環境を確保します。
主な設置候補としては、役場・公共施設・スポーツ施設・防災拠点・道の駅などを想定しています。能登半島地震では車中泊避難が多く発生し、防災拠点となる役場や道の駅の駐車場には多くの避難車両が集まりました。当社では、平時は地域のコインランドリーとして避難拠点・防災拠点で運営・維持管理を行い、災害時には被災者向けに無料開放する運用を想定しています。
※令和8年度地方財政措置(消防庁関係)事業において令和12年度まで5年間延長

防災拠点やスポーツ施設、道の駅などへ設置したイメージ画
【OLS見学会を随時受付】
現在、OLSは実証実験に向けた準備および洗濯試験を進めています。全国の自治体の職員の皆様には、ぜひ一度現地(八王子市)あるいは、展示場にお越しいただき、見学会および意見交換を行っております。先行見学の自治体には以下のサポートを提供します。
・導入設計・コスト・運用計画の優先サポート
・事業債活用シミュレーション資料の無償提供
・実証データの共同分析・報告書作成
まずはお気軽にお問い合わせください。
【今後の展開】
今後は自治体と連携しながら実証実験を進め、実用化に向けて防災・衛生インフラとしての導入提案を行ってまいります。洗濯は大量の水と洗剤を使用するインフラであるからこそ、水資源や海洋環境への配慮も重要であると考えています。海と環境をつなぐために、洗濯の概念を越えた新たな循環型インフラの構築を目指します。
【代表取締役会長兼社長 鈴木 國夫 コメント】
洗濯は、トイレや入浴と同じく、被災時の生活と尊厳を守る重要なインフラです。
能登半島地震で1日(約6時間)150世帯分の洗濯を支援した経験から、洗濯を公衆衛生インフラとして自治体の防災計画に位置づける必要性を強く実感しました。
今後、全国の自治体・市町村と連携することで、当社のノウハウと技術を生かし、平時及び災害時の洗濯ニーズを解決したいと考えております。また、今回の特許取得を節目として、洗濯衛生インフラという新たな防災の考え方を社会に広げてまいります。
洗濯を止めない。それは、生活を止めないということです。
【会社概要】
[表: https://prtimes.jp/data/corp/178387/table/7_1_f8e309c798e3e50f297efc58055f3319.jpg?v=202606111045 ]
※「オーシャンループシステム」「重珊水」は商標申請中