治療可能な老化を目指す最前線の遺伝医学の潮流。
最近の研究により、老化は「治療の対象になり得る現象」として捉えられるようになってきました。
血糖値をコントロールするための薬や、特定の薬剤が、老化を遅らせる効果を期待して日常的に服用されるケースが増えています。果たして、その効果は本物なのでしょうか。
今回は「老化を遅らせる薬」について、最前線の情報をお届けします。
<第1回>『老化』は治療ができる疾患?それとも逆らえない自然現象?
<第2回> 老化を遅らせる薬とは本当に効くの?
<第3回> 人それぞれのDNAに刻まれている老化の速度

老化制御が期待される薬剤の種類
現在、研究されている「抗老化薬」の多くは、実は新薬ではありません。すでに別の病気のために承認されている既存薬が中心となっています。これらが副次的な効果として、老化そのものを遅らせる可能性があることが分かり、再評価されているのです。一方で、健康な人が服用した場合、筋肉合成が阻害されて筋力が低下したり、ビタミン不足に陥ったりするなど、予期せぬ副作用を招く可能性があります。
アンチエイジング薬の種類
現在の日本の医学的定義では、老化は病気には分類されていません。そのため、「老化を治療する薬」は存在しませんが、海外ではアンチエイジングを目的として、主に3種類の薬が注目されています。
・細胞の修復機能を活性化させる薬
世界中の糖尿病患者数は約1億人以上とされています。血糖値をコントロールするために使用される薬の一つを、抗老化効果を期待して服用する人が急増しています。入手しやすく比較的安価であることから、その使用者は世界で数百万人から1,000万人規模に上ると推測されています。シリコンバレーの起業家や、デビッド・シンクレア博士の著書『LIFESPAN』の影響を受けた人々を中心に、世界的な関心が高まっています。
・細胞の成長シグナルを抑制する薬
臓器移植後には、拒絶反応を抑える目的の薬が使用されます。副作用のリスクが高いため、一般的な医療現場では慎重に扱われていますが、寿命延長効果に関するエビデンスが比較的多いことから、「バイオハッカー」や一部の医師や研究者を中心に使用されています。アメリカのオンライン長寿クリニック(AgelessRxなど)のデータや関連コミュニティの規模から、使用者は世界で数万人程度と考えられています。
・ダイエット薬
近年、爆発的に普及している「痩せる薬」です。2025年時点で市場規模は数兆円に達しており、本来の肥満治療という目的に加え、心血管疾患リスクの低減や炎症抑制、さらには抗老化を期待して服用する人も増えています。服用者全体は数千万人規模ですが、純粋に「老化防止のみ」を目的とする人は少なく、多くは「ダイエット兼老化防止」として使用しています。
作用機序(メカニズム)

老化を遅らせるアプローチは主に2つあります。
1つは、体内に居座る「老化細胞(老化細胞)」を直接除去する「セノリティクス」。
もう1つは、メトホルミンやラパマイシンのように、細胞内の代謝センサーに働きかけて「体の修復機能を活性化」させ、老化プロセスそのものにブレーキをかける方法です。
どれだけの人が飲んでいる?
では、実際にどれくらいの人が服用しているのでしょうか。 糖尿病や肥満の治療薬として、世界中で1億人以上の人が服用していると言われますが、そのうち「アンチエイジング」を主目的として服用している人の公式な統計は存在しません。現状ではインフルエンサーや研究者など、一部のバイオハッカーでの使用にとどまっています。今後の研究結果次第では、老化治療が正式な医療として認められ、一般的な選択肢となる日が来るかもしれません。
seeDNA遺伝医療研究所では、2026年1月より「長寿の傾向」を知ることができる遺伝子検査を提供しています。人生100年時代をより賢く、健やかに生きるために、ご自身のDNAを調べてみてはいかがでしょうか。