今年のテーマでは森林の未来を守るための森林教育の重要性を強調
2019年3月21日、ローマ – 本日の国際森林デーに当たり、FAOは森林の持続可能な利用と保全に関する子どもと若者の意識向上を目的とした、2つの新しい森林教育イニシアチブを発表しました。
ドイツが200万米ドル以上の資金を提供したこの2つのプロジェクトは、森林教育における重要な課題に取り組むとともに、一般市民の森林への理解を深めるものです。
「教育は次世代へ自然資源を保護していくための重要なステップです。子どもたちが幼い時から森林について学ぶことは不可欠です」とFAO事務局長ジョゼ・グラチアノ・ダ・シルバは述べました。
今年の国際森林デー のテーマ「森林と教育」は、持続可能な森林管理の達成に向けたあらゆるレベルでの教育の重要性を明示しています。
「森林は、空気、土壌、水、そして人々の健康の維持を助けます。また、気候変動や飢餓撲滅など、私たちが直面しているいくつかの最重要課題に取り組む上で、森林は極めて重要な役割を果たしています」とグラチアノ・ダ・シルバ事務局長は続けました。
しかし、このように広く実証されている恩恵にもかかわらず、世界の森林の健全性や持続可能性は、森林伐採並びに土地の劣化、そして代替的な土地の利用競争の累積的な影響によって脅かされている、とFAOは警告しています。同時に、ますます多くの人々がより多くの栄養価の高い食料へのアクセスを必要としています。
恐らく最大の課題は、森林が地球社会に還元している数多くの効用についての理解不足であり、人と自然との分離が特に都市部で拡大していることがこれをさらに助長しています。FAOは、この問題に取り組み、状況を逆転させる必要があること、そしてそれらは教育を通じて実施可能であることを強調しています。
しかし現在、森林に関する教育は不十分であることが多く、このような新たな課題に対処することは出来ていません。 大学で林業を学ぶ若者は減少傾向にあり、カリキュラムが変わりつつある小学校や中学校においても、森林教育を加える学校は一層少なくなっています。たとえ森林教育がなされても、それらはしばしば森林の多機能的役割を教えていません。
よって、FAOとパートナー機関は、私たちの森林を脅かす問題について認識向上に努めるとともに、森林セクターが継続的に直面する複雑な課題と機会に対処するための専門家を養うことができるような、包括的な森林教育プログラムと農村での職業学校の創設を支援しています。
タンザニアとフィリピンにおける、持続可能な森林の利用と保全に関する子どもたちへの教育
国際森林デーで発表されたプロジェクトの一例は、タンザニアとフィリピンにおいて、9歳から12歳の子どもたちの森林に関する知識と持続可能な森林管理の必要性に関する認識を高めるものです。
ドイツが100万米ドル以上の資金を提供するこの3年間のプロジェクトでは、対話型・経験型で森林ベースの学習アプローチに基づいた森林教育モジュールを開発し、これらの教材を専用のウェブサイト上で利用可能にすることで世界中で活用できるようにするものです。教材や学んだ教訓は、主要な林業関連のイベントでも広められる予定です。
二国とも、特に農村の人々の食料安全保障やエネルギー需要、生計には、森林及び森林地帯は不可欠です。また両国はいくつかの問題にも直面しています。
タンザニアでは人口の約半分、フィリピンでは約1/3が15歳以下です。従って、小学生に持続可能な森林利用と保全について教えることは、両国の森林の健全性と持続可能性を長期的に確保するための明らかな出発点となります。
グローバルな森林教育の強化
ドイツより100万米ドルを超える支援を受け、FAO、国際熱帯木材機関(ITTO)と国際森林研究機関連合(IUFRO)は、森林に関する協調パートナーシップ(CPF)内外の他のパートナー機関と結束し、森林教育の目録作成を行なっています。この目録は、6地域並びに地球規模での森林教育の状況を把握し、森林教育の課題とギャップを特定し、これらに対処するための推奨事項を策定するためのものです。また、このイニシアチブは森林教育のための「ワンストップ・ショップ」として機能するオンラインプラットフォームの開設も目指しています。
原文のプレスリリースはこちらから(英語)http://www.fao.org/news/story/en/item/1185781/icode/
ウェブページ「国際森林デー」はこちらから(日本語)http://www.fao.org/index.php?id=97387
動画「国際森林デー2019: 森林と教育」はこちらから(日本語)https://www.youtube.com/watch?v=hhIdApTgknw