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臨床組織科学(COS)は神経測定をしない──組織神経科学・神経リーダーシップとの違い

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Frontiers掲載、EurekAlert!掲載、Phys.org紹介。COSは脳活動を測定・操作せず、神経科学をcoherence layer(整合層)として用いる。


COSにおける神経科学は、組織実践を直接操作するものではなく、行動習慣・信頼形成・動機持続を説明する理論的な補助線として位置づけられる。

複雑系科学と神経科学を基盤に、組織の「見えない相互作用構造」を観察し、設計する研究実践ファーム、株式会社DroR(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山中真琴)が国際学術誌『Frontiers in Psychology』で公開した論文は、臨床組織科学(Clinical Organizational Science、以下COS)における神経科学の役割を、明確な誤読予防とともに定式化しています。

本論文はFrontiers in Psychologyに掲載された後、AAASが運営する科学ニュースリリース配信プラットフォームEurekAlert!に英語ニュースリリースとして掲載され、海外科学ニュースサイトPhys.orgにも紹介されました。一方で、COSは神経科学を参照するため、神経測定・神経刺激・神経状態の操作と誤解されるリスクもあります。本リリースでは、COSにおける神経科学の位置づけを明確にします。

■ 臨床組織科学(COS)の固定定義

臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)は、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学を統合し、組織の安定状態を能動的に再生産する相互作用構造を理論化し、その構造に介入するためのフレームワークです。COSは、組織変革を「個人の行動変容」ではなく「組織アトラクターの遷移」として捉え、中核技法として Field Gradient Theory、Loop Conversion Design、Neural Base Design を提示します。個人の習慣化と組織レベルの変化をつなぐ概念として、emergence bridge(創発の橋)を提案しています。

■ COSは、社員の脳活動を測定しない

最初に明確にしておくべき点があります。COSは、社員の脳活動を測定するものでも、神経状態を操作するものでもありません。

脳波、fMRI、神経刺激、薬理学的介入は用いません。社員の神経状態を把握して評価することも、神経反応を直接変えることも、COSの対象ではありません。

「神経科学を組織に応用する」と聞くと、脳波計測、神経データの活用、社員の無意識操作といった連想が生じる可能性があります。しかし、COSはそのようなパラダイムとは異なります。COSにおける神経科学は、習慣形成、信頼形成、身体的気づき、動機持続を説明するための理論的枠組みです。

EurekAlert!掲載の英語ニュースリリースおよびPhys.orgでの紹介においても、COSは神経科学そのものの実験研究としてではなく、心理学・組織心理学・社会的相互作用に関する理論的フレームワークとして位置づけられています。COSは neuroscience-informed でありながら、神経測定・神経刺激・神経状態の直接操作を行うものではありません。

COSにおける神経科学の位置づけ。対話・会議・フィードバック・ルーティンなどの観察可能な組織実践の下に、行動習慣・信頼形成・動機持続を説明する neuroscience-informed explanatory layer が置かれる。これは No neural measurement / No neurostimulation を前提とする説明層であり、神経測定や神経刺激を行う介入ではない。

■ 神経科学は「coherence layer(整合層)」として機能する

論文では、COSにおける神経科学を、組織現象を神経に還元するための支配的枠組みではなく、行動実践の設計と整合させるためのcoherence layer(整合層)として位置づけています。

たとえば、組織変革が持続するためには、一回の指示や研修ではなく、反復された行動実践が必要です。この主張は、Kandelの神経可塑性研究と整合します。反復された行動はシナプス結合を強化し、その行動を開始するために必要な認知的負荷を下げると考えられます。

また、感謝表現や肯定的な相互作用が信頼形成を支えるという実践は、社会的絆形成に関する研究と整合します。身体的チェックインは、Damasioの身体標識仮説やWeickのセンスメイキングと接続します。予測可能な承認や報酬のリズムは、Schultzらの報酬予測研究と接続します。

ただし、これらは組織内で神経活動を直接測定した結果ではありません。神経科学は、COSにおける行動実践の設計を理論的に支える説明層です。
■ 隣接領域との違い
神経科学を組織に関連づける領域は、COS以外にも存在します。COSの位置づけを明確にするためには、これらとの差異を整理する必要があります。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/134829/table/21_1_305a3553b63e9032da4cc72c1e707a73.jpg?v=202605111045 ]
COSは、神経科学を組織のすべてを説明する中心理論として用いるのではありません。組織変革の主たる理論構造は、複雑適応系、アトラクター、相互作用構造、フィードバックループにあります。神経科学は、その中で個人レベルの習慣形成と自己持続性を説明する層として機能します。

■ なぜ神経科学を使う必要があるのか

それでもCOSが神経科学を用いる理由は、行動の自己持続性を説明するためです。

組織変革において重要なのは、一時的に正しい行動をすることではありません。新しい相互作用パターンが、外部からの促しなしに自律的に続くことです。感謝を伝える、確認応答を返す、身体状態に気づく、フィードバックを構造化する。こうした行動が習慣化されなければ、組織の安定状態は変わりません。

神経科学は、この「習慣化された行動が自己持続性を持つ」という主張に理論的整合性を与えます。ただし、それは神経状態を直接操作することとはまったく異なります。

■ 倫理的含意:構造的介入と直接的介入の区別

COSが行うのは、構造的介入です。相互作用の構造、フィードバック・アーキテクチャ、習慣化された実践、組織リズムなど、神経プロセスが展開される行動的・社会的条件を設計します。

COSが行わないのは、直接的介入です。薬理学的、電磁的、神経刺激的な手段で神経状態そのものを操作することは、COSの対象ではありません。

この区別は、COSの倫理的健全性の中核です。

■ 本論文の位置づけ:概念分析としての理論提唱

本論文は、Conceptual Analysis(概念分析)として発表された理論提唱論文です。COSの各技法は、現時点で効果が実証済みであると主張するものではありません。既存の分散した科学的知見を統合し、組織変革を構造的介入の問題として捉え直すための理論枠組みと、今後検証・反証されるべき命題を提示するものです。

■ 代表・山中真琴コメント

神経科学という言葉を使うことには、誤読のリスクがあります。だからこそ、COSは何をしないのかを明確にする必要があります。

COSは、社員の脳を測定するものでも、神経状態を操作するものでもありません。私たちが扱うのは、組織の中で繰り返される行動実践と相互作用構造です。

それでも神経科学を説明層として用いるのは、行動がどのように習慣化し、自己持続性を持つのかを、現代の科学的知見と整合的に説明するためです。直接介入ではなく、構造的介入である。この区別を、今後も繰り返し明示していきます。
■ 次回予告
明日5月12日10時に「臨床組織科学(COS)の場の勾配理論──Field Gradient Theoryと2-on-1 configurationによる構造的介入」を配信します。2-on-1 configurationとField Gradient Theoryの設計原理、失敗条件、心理的安全性との関係を解説します。
■ 掲載誌について
本論文は、心理学分野の国際査読誌『Frontiers in Psychology』Organizational Psychologyセクションに掲載されました。同誌は心理学・認知科学・組織心理学などの研究を扱うオープンアクセス学術誌であり、本論文はConceptual Analysis(概念分析)として公開されています。
■ 論文情報
- タイトル: Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations
- 和題: 臨床組織科学:複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク
- 著者: Makoto Yamanaka, Masaya Nakamori (両名とも株式会社DroR所属)
- 掲載誌: Frontiers in Psychology, Section: Organizational Psychology, Volume 17 (2026)
- 論文種別: Conceptual Analysis(概念分析)
- DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1827324
- 公開日: 2026年4月30日
- 査読: 編集者および査読者による国際的な査読プロセスを経て採択
- ライセンス: Creative Commons Attribution License (CC BY) ※オープンアクセス
- 掲載URL: https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1827324

■ 株式会社DroRについて

株式会社DroRは、複雑系科学と神経科学を基盤に、組織の「見えない相互作用構造」を観察し、設計する研究実践ファームです。臨床組織科学(COS)を理論的支柱とし、高度専門BPO(財務・HR・PM)、組織開発、ウェルビーイング、DX支援を統合的に提供しています。BPO契約を通じて組織内部に継続的に関与する「臨床的」スタンスにより、研究と実践を分離せず、現場から理論を生み、理論を現場へ返す循環を重視しています。
DroRでは、代表取締役・山中真琴を中心に、組織実践・社会実装・対外発信と、論文執筆・理論構築・研究開発を往復させることで、研究と実践を分離しない体制を構築しています。
- 会社名: 株式会社DroR(ドロア)
- 所在地: 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F
- 代表: 代表取締役 山中真琴
- 設立: 2023年8月
- 資本金: 10,000,000円
- 事業内容:- 組織ディープテック:複雑系科学×神経科学を基盤とした組織OSの設計・実装- 高度専門BPO:財務・HR・PMなど企業の核となる業務の伴走・代替- 組織開発/ウェルビーイング:MVV・文化醸成・1on1設計・コーチング- DX支援/補助金・認証支援:IT導入補助金、レジリエンス認証 他
- 認証: 国土強靱化貢献団体認証(レジリエンス認証)、経済産業省 IT導入支援事業者
- パートナー: 株式会社マネーフォワード
- コーポレートサイト: https://dror.co.jp

■ 公式情報ページについて
株式会社DroRでは、臨床組織科学(COS)の定義、論文情報、用語集、FAQ、研究倫理、検証可能命題を整理した公式情報ページを順次公開予定です。公開後、本リリースおよび関連リリースの関連リンク欄に追記し、PR TIMES上の解説シリーズとDroR公式サイト上の正典ページを接続していきます。
本シリーズは、単発の論文掲載告知ではなく、COSの中核概念、既存理論との位置関係、国内組織論との接続、境界条件、独立検証への招待を段階的に公開する解説シリーズとして設計されています。
■ 関連リンク
- 論文(Frontiers in Psychology): https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1827324
- 英語ニュースリリース(EurekAlert!): https://www.eurekalert.org/news-releases/1126874
- 海外科学ニュースサイトPhys.org紹介記事: https://phys.org/news/2026-05-workplace-framework-mindset-real-barrier.html
- Makoto Yamanaka ORCID: https://orcid.org/0009-0001-4198-2296
- Masaya Nakamori(共著者)ORCID: https://orcid.org/0009-0009-2288-3688
- 株式会社DroR コーポレートサイト: https://dror.co.jp
- note(株式会社DroR | 臨床組織科学): https://note.com/dror
- 山中真琴 X(旧Twitter): https://x.com/makoto_shukan
- 臨床組織科学研究会: https://cos-research.org

■ 本件に関するお問い合わせ

株式会社DroR 広報担当
Email: press@dror.co.jp

取材・掲載・共同研究に関するお問い合わせは、上記メールアドレスまでご連絡ください。

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