「春の疲れ」と見過ごさないで。専門家が警鐘を鳴らす、新学期に潜む「起立性調節障害」のサインとは
進級・進学による環境変化が大きい新年度。生活リズムの変動に不安を感じる保護者が多い中、一般社団法人 起立性調節障害改善協会は、小学校高学年~高校生の子どもを持つ保護者149名を対象に「新学期の登校時間と朝の起床に関する実態調査」を実施しました。その結果、約7割の子どもが「朝スムーズに起きられない」という課題を抱えており、保護者の約3人に1人が新年度の生活に対して不安を感じている実態が浮き彫りになりました。特に、朝のトラブルへの対策として「医療機関への相談」を検討する家庭はわずか2%に留まり、背景にある身体疾患「起立性調節障害(OD)」の可能性が見過ごされやすい現状が明らかになりました。
調査背景
春は入学やクラス替えなど環境が激変し、さらに寒暖差や気圧の変化によって自律神経が乱れやすい季節です。この時期、多くの子どもたちが「朝起きられない」「体がだるい」といった不調を訴えますが、多くの保護者はそれを「新学期の緊張」や「春の眠気」として捉えがちです。しかし、中には思春期特有の身体疾患である「起立性調節障害(OD)」が隠れているケースも少なくありません。本調査は、新学期に向けた保護者の意識と子どもの実態を可視化することで、適切な理解と早期対応の重要性を伝えるために実施しました。
調査サマリー
- 新年度、登校時間が「今より早くなる」家庭は約13%
- 約34%の保護者が新年度の登校時間に対して「不安がある」と回答
- 朝スムーズに起きられている子どもは約3割に留まり、約7割が何らかの起きづらさを抱えている
- 「朝起きられない」への対策は「早寝の徹底(22.8%)」が最多。一方で「受診」を考える人はわずか1.9%
- 「起立性調節障害」を「よく知っている」保護者は約2割。名称は知っていても詳細な理解には至っていない現状
詳細データ
Q1:新年度から、お子さまの登校時間は変わりますか?

- 今と変わらない:75.8%
- 今より早くなる:13.5%
- まだわからない:6.0%
- 今より遅くなる:4.7%
→ 約1割強の家庭で登校時間が早まることが判明。登校時間の前倒しは、睡眠時間の確保や朝の準備において大きなプレッシャーとなります。
Q2:新年度の登校時間に対して、不安はありますか?

- あまり不安はない:45.6%
- やや不安がある:27.5%
- まったく不安はない:20.1%
- とても不安がある:6.8%
→ 「不安がある(とても・やや)」と回答した人は34.2%。約3人に1人の保護者が、新生活のスタートに対して心理的な負担を感じています。
Q3:現在、お子さまは朝スムーズに起きられていますか?

- たまに起きられないことがある:47.0%
- 毎朝スムーズに起きている:30.8%
- 起きられない日の方が多い:16.8%
- ほぼ毎朝起きられず困っている:5.4%
→ 「毎朝スムーズ」な子どもは3割に満たず、残りの約7割は何らかの起きづらさを感じています。特に約2割は頻繁に起きられない状態にあり、深刻なケースも含まれていると推測されます。
Q4:新学期、お子さまが朝起きられない状態が続いた場合どのような対策をとりますか?

- 早寝を徹底させる:22.8%
- スマホやゲームの夜間利用を制限する:21.5%
- 起こし方を工夫する:16.4%
- 朝食や生活リズムを見直す:10.6%
- しばらく様子を見る:10.0%
- その他:18.7%
→ 多くの家庭が「本人の心がけ」や「家庭内での工夫」で解決しようとする一方、専門機関への相談を検討する人は極めて少数でした。
Q5:お子さまの「朝起きられない」が長期間続いた場合、起立性調節障害の可能性があることを知っていますか?

- 聞いたことはある程度:55.8%
- 今初めて知った:22.1%
- よく知っている:22.1%
→ 名称の認知度は高いものの、具体的な症状や疾患としての理解(よく知っている)は2割強に留まっています。
調査結果のまとめ
今回の調査により、新年度に向けて保護者の約3割が不安を抱え、約7割の子どもが日常的な起きづらさを感じている現状が示されました。対策は「早寝」「スマホ制限」等の生活習慣の調整に集中しており、医療機関への相談を検討する層は1.9%と極めて少数です。疾患としての認知と対策に乖離がある現状を受け、不調を「疲れ」で見過ごさず、専門的な視点を含めた多角的なサポート体制の構築が求められます。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会のコメント

新学期、登校時間が早まることへの不安や、朝起きられない悩みは、多くの場合「本人のやる気の問題」として処理されがちです。しかし、もしお子様が「起きたくても、どうしても体が動かない」「午前中に頭痛や立ちくらみがする」と訴えているなら、それは起立性調節障害(OD)という自律神経系の疾患かもしれません。本調査でも、対策として「受診」を挙げる方がわずか1.9%であったことは、この疾患がいかに「見過ごされやすい」かを物語っています。ODは適切な治療と周囲の理解があれば改善する病気です。「うちの子は怠けているだけかも」と一人で悩まず、まずは専門的な知識を持つ機関に相談することをお勧めします。新学期のスタートを、親子が笑顔で迎えられるようサポートを続けてまいります。
調査概要
調査主体:一般社団法人 起立性調節障害改善協会
調査期間:2026年3月26日~2026年3月31日
調査対象:2026年4月に進学・進級を控える小学校高学年~高校生の子どもを持つ保護者
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答数:149名