【2014年11月18日】PTC(本社:米国マサチューセッツ州、Nasdaq: PMTC、社長兼CEO:ジェームス・E・へプルマン)の日本法人であるPTCジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桑原 宏昭)は、本日、人工心臓開発のパイオニアである東京大学大学院医学系研究科の研究グループが完全置換型人工心臓の開発に設計ソフトウェアであるPTC Creo(R)を活用していることを発表しました。同大学では1959年から人工心臓の研究が実施され、1970年からは動物実験が進められてきました。PTC Creoの高度な3Dモデリング機能は、2016年までに体内完全埋込式完全置換型人工心臓を完成させるという研究チームの目標を達成する上で、非常に重要な要素となっています。
世界保健機関(WHO)によると、心不全の患者数は世界全体で2,000万人、新たに罹患する患者数は年間200万人と推定されています。心臓移植手術は世界で年間約5,000件実施されており、日本における患者の平均待機時間は981日と報告されています。この心臓疾患の増加と深刻なドナー不足が人工心臓研究の原動力となっており、既存の心臓に完全に置き換わる埋め込み型人工心臓の開発は、医療分野のブレークスルーとなります。
人工心臓には、心臓を切除して置換する完全置換型人工心臓(TAH)と、機能不全の心臓に装着してポンプ機能を補助する補助人工心臓(VAD)の2種類があります。東京大学人工心臓開発チームは、PTC Creoを用いて、完全置換型人工心臓を中心とした総合的な研究開発を推進しており、現在研究開発中の体内埋込式完全置換型人工心臓は、血液を潤滑媒体とするインペラーの非接触浮上(動圧軸受)により耐久性の著しい向上が見込まれています。2008年には、体内埋込式完全置換型人工心臓としては日本国内最長生存記録の153日を達成しました。体外に血液ポンプと駆動装置を置く空気圧駆動方式の完全置換型人工心臓では、最長532日の生存実績があり、動物実験としては世界最長生存記録があります。
東京大学では2003年よりPTC Creoの前身であるPro/ENGINEER(R)設計ソリューションを活用しており、2012年にPTC Creoを導入しました。PTCのCADソリューション導入の背景として、次世代の完全置換型人工心臓の開発においては回転型非接触血液ポンプを使用しますが、動圧軸受の安定性向上に注力することでデバイス全体の性能・効率・耐久性を高め、血流を改善するポンプの形状を目指す上で視覚的な情報共有が必要であったことが挙げられます。また、PTC Creoの3Dモデリング機能は、切削加工や数値流体解析を用いたシミュレーションの実施時にも大きな役割を担っています。2014年10月には、PTC Creoを活用して導圧軸受の安定性の大幅な向上と、溶血や血栓の問題のさらなる改善を実現しました。PTC Creoは、日常的な議論においても3Dモデルの断面図や動画により、視覚的にわかりやすい資料の作成と共有が可能になっています。
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座 生体機能制御学分野の講師であり人工心臓研究開発チームを指導する磯山 隆 氏は「PTC Creoは人工心臓設計における全員の共通言語としての標準ソリューションであり、なくてはならない環境の1つになっています。PTC Creoは、切削加工に加えて様々な設計や検討のプロセスを支援しており、我々の目標達成に向けてチームの大きな前進に貢献してくれています」と述べています。
PTCグローバルエデュケーション担当シニアバイスプレジデントのジョン・スチュアート(John Stuart)は「PTCのソリューションが、東京大学の革新的な研究をサポートしていることを非常に喜ばしく思います。PTCは、PTC、顧客、社会全体の継続的な成功は、各世代の現実世界における問題解決能力をいかに高められるかに起因すると確信しています。完全置換型人工心臓の研究は、PTCの先進ソフトウェアソリューションを駆使することにより、学術機関が学生に実社会で効果的に競争するための準備の機会を与えているすばらしい事例です」と述べています。
東京大学はPTCの販売代理店である株式会社ユニダックスを通じ、PTC Creoを導入しています。
<関連情報>
- 画像とキャプション
http://support.ptc.com/appserver/wcms/standards/textoimgothumb.jsp?&im_dbkey=164190&im_language=ja
- PTC Creoについて(ウェブサイト)
http://ja.ptc.com/product/creo
- PTC Creoブログ
http://creo.ptc.com/
- PTC Creo アカデミック プログラムについて(ウェブサイト)
http://ja.ptc.com/communities/academic-program/college-and-university
* 12月9日開催「PTC Live Tech Forum」にて、「医学×工学 人工心臓の設計が、未来の生命をつなぐ」と題し特別講演を行います。詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.cvent.com/events/ps-ptc-live-tech-forum-jp-12-09-2014/agenda-bed2c26297914813867cb7a2b05d749d.aspx
【東京大学大学院 医学系研究科 人工心臓研究開発チームについて】
完全置換型人工心臓開発の世界のパイオニアとして50年以上の歴史を持っており、当研究室を中心とした学内外の多くの研究者と研究チームを組み、精力的な研究開発を行っています。その研究内容は 、血液ポンプ、駆動機構、人工弁、カニューレ・カフ、医用材料、生体計測技術、制御アルゴリズム、経皮電力・情報伝送、IT監視システム、数値流体解析、循環生理や病態生理と多岐にわたります。このような多くのテーマに取り組むことから、それぞれ専門性の高い経歴の所属メンバーで構成されています。
東京大学大学院 医学系研究科・医学部 Webサイト: http://www.m.u-tokyo.ac.jp/index.html
東京大学大学院 医学系研究科 人工心臓研究開発チーム Webサイト: http://www.bme.gr.jp/bme/Top_Page.html
【PTCについて】
PTC(本社:マサチューセッツ州、Nasdaq: PTC)は、製造業における継続的な製品とサービスの優位性(Product and Service Advantage)の実現を可能にします。PTCのテクノロジーソリューションは、インターネット接続された高度な情報処理能力を持つスマートな世界を見据え、お客様の製品開発、運用、サービスの変革を促進します。1985年に設立されたPTCは、世界各国に約6,000名の従業員を有し、グローバル規模で分散化し急速に変化する製造業界に携わる28,000社を超える顧客企業を支援しています。
【PTCジャパンについて】
米PTCの日本法人(本社:東京都新宿区)。CAD、製品ライフサイクル管理 (PLM)、アプリケーション ライフサイクル管理 (ALM)、サプライチェーン管理 (SCM)、サービス ライフサイクル管理 (SLM) の各テクノロジーソリューションにより、製造業における顧客企業を支援。全社に渡り製品イノベーションへの貢献を可能にする新しい設計ソフトウェアファミリーの PTC Creo、製品データ管理/製品開発コラボレーション/製品分析・品質ライフサイクル管理の PTC Windchill、ソフトウェア要件管理/変更・構成管理/テスト管理/実装管理のPTC Integrity、ダイナミック・パブリッシング・システムの PTC Arbortext、技術情報/サービスナレッジ管理/補修部品管理/保証・契約管理/フィールドサービス管理/サービス物流管理のPTC Servigistics、工学技術計算の設計と文書化を同時に行える PTC Mathcad といった革新的なソフトウェア製品、および製品開発業務プロセス改革コンサルティング、製品教育サービス、テクニカルサポートを提供しています。1992年3月設立。国内4事業拠点。Webサイト:http://www.ptc.com
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以上