2月10日にスウェーデンのビクトリア王女殿下は、非営利組織H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)により始められた、年に1度のファッション業界での環境意識を高める革新的なアイディアを実現させるためのアワードであるGlobal Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)の第1回の受賞者に賞の授与を行いました。最多票を獲得し、300,000ユーロ(約3800万円程度)の助成金を授与されたのはフィンランドのチームで、授賞対象は、「綿くずを新しくする - 綿くずの新繊維への変換」です。ファッション産業への変革を促進する目的で、このたび財団はイノベーションのための公開データベースであるGlobal Change Award Network(グローバル・チェンジ・アワード・ネットワーク)をスタートさせます。オンライン投票は2月1日から7日にかけて行われ、結果は以下のとおりです。
□ 300,000ユーロ: 『綿くずを新しくする - 綿くずの新繊維への変換』
イノベーションチームリーダー: マイケル・フンメル<フィンランド> (獲得票31%)
□ 250,000ユーロ: 『ポリエステル消化装置 - 微生物によるポリエステル繊維廃棄物のリサイクル』
イノベーションチームリーダー: アクシェイ・セティ<アメリカ> (獲得票22%)
□ 150,000ユーロ: 『繊維の余り物のオンライン市場 – 製造過程でのこぼれものを産業的にアップサイクリングする市場』
イノベーションチームリーダー: アン・ラネル<エストニア>(獲得票18%)
□ 150,000ユーロ: 『100%柑橘類 – 柑橘類ジュース製造時副産物から新繊維を創出』
イノベーションチームリーダー: エンリカ・アレナ<イタリア> (獲得票15%)
□ 150,000ユーロ: 『水中での繊維の成長 – 藻類を利用した再生繊維の開発』
イノベーションチームリーダー: トジェアート・フェーンホーファン<オランダ> (獲得票14%)
「この由緒ある助成金によって、私たちの技術は工業的に実現できるレベルへと引き上げられます。今後は技術細部のさらなる発展、特に経済競争力を保証し私たちの目的である環境への負担を軽減させることになる溶媒回収の技術の発展に、焦点を合わせていくことになります。」
『綿くずを新しくする - 綿くずの新繊維への変換』のフィンランドチームのスポークスパーソン、マイケル・フンメルは語ります。
このたび財団は、グローバルなイノベーションコミュニティにインスピレーションを得て、受賞5チーム以外にもチームやアイデアが一般公開された公共デジタル空間である、Global Change Award Network(グローバル・チェンジ・アワード・ネットワーク)をスタートさせます。
「応募期間が終了した時点で、何千もの素晴らしいアイデアを目にすることになりました。そこで、Global Change Award Network(グローバル・チェンジ・アワード・ネットワーク)を創設することにしました。ネットワークは、イノベーターがアイデアを発表し、フィードバックを得て、コンタクトをとることができ、また、投資家が新たな大物を見つけることもできる、マッチメーキングサイトになることでしょう。言わばイノベーティブなアイデアのためのデジタルの温室です。」H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)理事、H&M CEOのカール・ヨハン・パーションは語ります。
2月10日の授賞式は、H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)、アクセンチュア、スウェーデン王立工科大学 (KTH)が提供する、1年間のイノベーション促進プログラムのスタートとなりました。プログラムは、受賞チームが循環経済、イノベーション、ファッション産業との関連の主要3分野に焦点を当て、自らのアイデアを発展させる事を支援します。
「このプロセスを通じて見てきたイノベーションのレベルは非常に感動的なものであり、Global Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)受賞5チームに対して、チームのアイデアを発展させるためのイノベーション促進プログラムを通して導き、指導することにより、戦略的なビジネス成長を促進することを目指します。」アクセンチュアの戦略プログラムリーダー、ジェニー・ペルソンは語ります。
「私たちは大変な環境面での課題に直面しており、KTHにとってはGlobal Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)のパートナーになることは、緊急を要すとともに特権的な事項でした。この努力を支援すること、そして、より良い未来の一部となることはKTHがとるべき明らかな進路です。促進プログラムが開始され、受賞イノベーター5チームが明らかになったことに期待が膨らんでおります。」KTHイノベーションのトップ、リサ・エリクソンは語ります。
・Global Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)ネットワークについては、以下のURLにアクセスしてください。
https://network.globalchangeaward.com
・チャレンジの詳細については、以下のURLにアクセスしてください。
www.globalchangeaward.com
<Global Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)についての詳細>
・受賞5チームの選考
Global Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)は2015年8月に非営利組織
(H&M コンシャス・ファウンデーション)により始められました。8月25日から10月31日までの間、グローバルで応募を募り、112カ国から2,700以上のイノベーターの応募がありました。H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)は、イノベーションコラボレーターであるスウェーデン王立工科大学 (KTH)、アクセンチュア、および専門家審査員団の支援のもとで、応募内容を検討しました。ファッションにおける循環に対する支援の潜在性がもっとも高いと考えられた5つのアイデアが受賞者として選ばれました。
・オンライン投票
総計100万ユーロ(1億2700万円程度)の助成金を受賞5チーム間で分配する目的でオンライン投票が実施され、合計で22,500票の投票がありました。投票数が多かったのは、ドイツ、アメリカ、オランダ、スウェーデン、イタリア、ロシア、フランス、中国、イギリス、フィンランドです。
・イノベーション促進プログラムについて
プログラムの開始にあたり、KTHイノベーションは受賞チームをストックホルムのKTHキャンパスで実施される1週間の集中訓練プログラムに招待します。その後、アクセンチュアストラテジーが提供する1年間の訓練・指導プログラムが実施されます。受賞チームは、自らのアイデアを次のレベルへと引き上げるために、個別の指導を受け、オーダーメードの学習セッション・課題を与えられます。イノベーション促進プログラムは、H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)およびH&Mを通じて、ファッション業界への独占的なアクセスや、ネットワークを構築し、ファッションのバリューチェーン内でアイデアを実際に試してみる可能性も提供します。
・財政支援
H&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)はスウェーデンのファッション企業H&Mの創設者で、主要なオーナーである、ステファン・パーション家の財政支援を受けています。2013年以来、パーション家はH&M Conscious Foundation(H&M コンシャス・ファウンデーション)に9億スウェーデン・クローナを寄付しました。
<専門家審査員団のメンバー>
・ マイケル・ブラウンガート博士 : エラスムス・ロッテルダム大学のアカデミックチェア「イノベーションとクオリティのためにゆりかごからゆりかごへ」、ロイファナ大学リューネブルク教授、EPEAハンブルクの科学ディレクター。
・レベッカ・アーリー教授 : ロンドン芸術大学教授 (持続可能な繊維ファッションデザイン) 兼同大繊維未来研究センターディレクター。
・マー・ジュン氏 : 中国の公衆環境研究中心ディレクター。
・エヴァ・クルース氏 : デンマークファッション研究所CEO、コペンハーゲンファッションウィークCEO。
・ヨハン・ロックストローム教授 : ストックホルム大学のストックホルムレジリエンスセンターディレクター兼環境学教授。水資源および地球の持続可能性に力点を置く。
・エリス・ルービンスティーン氏 : ニューヨーク科学アカデミー理事長兼CEO。
・フランカ・ソザーニ氏 : ヴォーグイタリア編集長。
・アンバー・ヴァレッタ氏 : スーパーモデル、女優、起業家。