― 日本国内初、ジャトロファ由来SVO混合燃料(10%)での実航路試験 ―

栗林商船株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:栗林宏吉、以下「当社」)は、日本植物燃料株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:合田 真、以下「日本植物燃料」)が事業主体としてアフリカ ガーナおよびモザンビークで栽培するジャトロファから搾油したストレートベジタブルオイル(SVO:Straight Vegetable Oil)を用い、当社運航のRORO船(※)においてバイオ燃料混合油による実証試験を開始しました。
本取り組みは、昨年より当社が参画しているジャトロファ由来バイオ燃料のフィージビリティスタディ(FS)の一環として実施するものです。


(実際の補油風景)
(※)RORO船とは
「RORO」は、Roll-On・Roll-Offの略で、貨物を積んだトラックやシャーシ(荷台)ごと輸送する船舶のことです。
トレーラーが発地側の港で乗船しますが、貨物を積んだシャーシを切り離して載せて(Roll-On)、その後、トレーラーヘッド(トラクタ)は下船します。逆に、着地側の港ではトレーラーヘッドだけが乗船します。シャーシを連結後に下船(Roll-Off)します。当社は、1969年にわが国初のRORO船を建造。これによって、それまでの船舶では対応できなかった雨天荷役が可能となり、その後、巻取紙の輸送を俵積みから縦積みに変えることで輸送品質は格段に向上しました。お客様のニーズに合わせて、低コスト、省エネルギーのRORO船を建造してきました。
1.ジャトロファ由来バイオ燃料FSへの参画について
当社は2025年より、日本植物燃料が推進するジャトロファ由来バイオ燃料の事業化に向けたフィージビリティスタディ(FS)に、大手海運会社および大手総合商社とともに共同で参画しております。
ジャトロファは元来、食用に向かない非可食の油糧植物であり、食料生産と競合しない持続可能な原料として注目されています。特にアフリカ地域などの未利用地で栽培可能であり、地域経済の活性化と脱炭素社会の実現を両立する可能性を有しています。
当社は、海運事業者として、次世代燃料の実用化可能性を早期に検証することが業界全体の脱炭素化推進に資するものと考え、本FSに参画しております。また2025年2月に公表した「中期経営計画(2025年~2027年度)」の中でも、サステナビリティ経営の主要項目に「環境経営」を掲げております。その戦略(中~長期)のひとつに「次世代燃料への転換による排出量削減手法および安定的な確保手段の検討」を個別項目に含めております。

生育中のジャトロファ 
ジャトロファ由来SVOサンプル (右)SVO 100% (左)適合C重油に混合後の状態(バイオ燃料濃度10%)
2.日本国内初となる「ジャトロファ由来のSVO混合燃料」による実航路試験
このたび、日本植物燃料がアフリカ(※)で栽培したジャトロファから現地で搾油したSVO(Straight Vegetable Oil)のサンプル油を日本へ搬入いたしました。
(※)今回のサンプルはガーナで搾油したSVOを利用
当社はこれを、当社運航のRORO船において、既存の適合C重油と混合し(バイオ燃料濃度10%)、実際の定期航路において運航いたします。
ジャトロファ由来のSVOをそのまま燃料として用いた海上輸送での実証試験は、日本国内では初の取り組みとなります。
これまでのバイオ燃料実証は、FAME(脂肪酸メチルエステル)やHVO(水素化植物油)など加工燃料が中心でしたが、本取り組みでは、より簡素な製造工程で得られるSVOを直接活用する点に大きな意義があります。
本試験では以下の検証を行います。
・主機関・補機関への影響(燃焼特性、出力安定性)
・燃料系統への影響(粘度管理、フィルター詰まり等)
・排ガス特性
・実運航下での安定供給および運用管理面の検証
本試験により、SVOの実用化に向けた課題を明確化し、将来的な導入判断やサプライチェーン構築に資するデータ蓄積を進めてまいります。

(「令和5年 国土交通省海事局『船舶におけるバイオ燃料取り扱いガイドライン』」より抜粋)
3.栗林商船株式会社が目指す姿 ―「現実解」としての脱炭素推進―
国際海事機関(IMO)による温室効果ガス削減目標の強化や、荷主企業における排出量削減要請の高まりなど、海運業界を取り巻く環境は大きく変化しています。
当社は、中期経営計画(2025~2027年度)の主要項目の一つ「サステナビリティ経営」においても「環境経営」を標榜し、2030年度までの内航海運のCO2削減目標として17%(2013年度比)を掲げております。同目標に向けた戦略(短~中期)としてバイオ燃料等を含む次世代燃料への転換を検討し、実証と実装への取組みを進めております。
ジャトロファ由来SVOは、既存内燃機関の活用が可能である点、原料の持続可能性が担保されうる点において、有望な選択肢の一つと考えております。
当社は単なる実証にとどまらず、実装可能性の高い「現実解」を追求し、海運業界における脱炭素移行の実践的モデルを示してまいります。

(日本植物燃料株式会社作成資料より抜粋)
4.栗林商船株式会社 専務取締役 栗林広行 コメント
今回の実証は、既存機関を活用しながら当社の実運航下で課題を検証できる点に大きな意義があり、現実的で実装可能な手段を着実に積み重ねていくことが重要であると考えております。
エネルギーの安定供給の重要性が一層高まる中、本取り組みは燃料の多様化と供給基盤の強化の双方に資するものです。外航分野ではバイオ燃料の活用が進む一方で、内航分野でも導入に向けた議論が本格化しており、本実証を契機にその動きが加速することを期待しております。また当社としても、その取り組みの推進に積極的に貢献してまいります。さらに、原料生産から供給に至るサプライチェーン構築の観点においても、ガーナ・モザンビーク両国をはじめとする国際連携は、環境と社会の双方に価値をもたらすものと考えております。当社は今後も、安定輸送と環境負荷低減の両立を図りながら、持続可能な海運の実現に貢献してまいります。
5.日本植物燃料株式会社 代表取締役 合田真 コメント
内航海運業界を代表する企業である栗林商船株式会社と本事業に取組ませていただき海運業界の脱炭素移行およびエネルギー供給の多様化による我国のエネルギー安全保障に貢献出来ることを嬉しく思います。
我が国の海運業界がジャトロファ由来SVOを利用することは、業界全体での脱炭素化推進への貢献だけでなく、ガーナやモザンビークの多数の農民とコミュニティの生活向上にも資するものです。
また、搾油残渣からバイオ炭を生産し畑に戻すことで高品質なカーボンクレジットの生成を可能とし広く脱炭素移行に取組む我国産業界に貢献することが出来ます。引き続き栗林商船株式会社および本FS参画各社と協力してジャトロファ由来SVOの大量生産と安定供給に向けたサプライチェーン構築への取組みを加速させて参ります。

(モザンビークでの日本植物燃料合田社長(写真中央)と地元関係者による協議風景)
5.今後の展開
本試験結果については、日本植物燃料および本FS参画各社と連携のもと分析を行い、技術的・経済的観点から実用化に向けた評価を進めてまいります。
また、昨今の国際情勢等にも鑑み、燃料の安定供給の重要性を一段と強く認識し、本件実証を通じたバイオ燃料のサプライチェーン構築にも寄与していく考えです。
栗林商船株式会社は今後も、次世代燃料の検証と導入可能性の追求を通じ、持続可能な海上輸送の実現に取り組んでまいります。
<会社概要>
商号:栗林商船株式会社
本社所在地:東京都千代田区大手町二丁目2番1号
代表取締役:栗林宏吉
事業内容:
栗林商船株式会社は、北海道から東京、名古屋、大阪に至る内航定期船事業を中心に、港湾荷役から内陸輸送までの海陸一貫輸送サービスを提供しています。1894年の創業以来、地域とともに成長を続けております。
ホームページ: https://www.kuribayashishosen.com/
<本件に関するお問い合わせ先>
栗林商船株式会社 総務部 笹川
Email:n.sasagawa@kuribayashi.co.jp