サウジアラビアの今年の死刑執行数は、11月9日現在で少なくとも151人に達した。2日に1人が処刑されているペースだ。アムネスティの調査によると昨年の執行数は年間90件で、現時点ですでに68%増である。また、年間192人を記録した1995年以降では最多人数である。
今年執行された151人のうち63人は、薬物関連の罪で死刑を科された。国際人権法が死刑を科すことを認めている「最も重大な犯罪」に該当しない犯罪だった。国際人権基準の「最も重大な犯罪」とは、故意の殺人などの犯罪だ。死刑の適用には非常に厳密な保護措置を設けているとの同国の主張とも、明らかに矛盾している。
外国籍の人びとに対し、死刑が極めて偏って適用されていることも、憂慮すべき事態だ。今年これまでに処刑されたのは71人と、半数近くにのぼる。うち薬物関連によるものが45人だった。外国籍の人びとは、大部分が発展途上国からの移住労働者で、そのほとんどがアラビア語がわからないにもかかわらず、法廷では通訳者がつかないため、とりわけ不利な立場に置かれてきた。
死刑の適用はいかなる場合でも許せない。その上サウジアラビアは、国際人権法や基準に違反して、大規模かつ非常に不公正な審理を経て執行が続いていることは、特に懸念される。
また、シーア派の反政府勢力を弾圧する手段として死刑が利用されているのも気がかりだ。この政治的利用が死刑執行にさらに拍車をかけている。
先月最高裁は、著名なイスラム教シーア派の聖職者に下された極めて不当な死刑判決を、支持した。
さらにその後、その聖職者の未成年の甥と仲間のシーア派活動家2人、計3人の死刑判決も支持した。3人は、反政府集会に参加して逮捕され、その後死刑判決を受けていた。3人とも勾留期間中、激しい暴力を受け、弁護士との連絡も認められなかったという。
サウジアラビアではまた、18才未満の少年に対する死刑が横行している。これは国際慣習法と子どもの権利条約が求める国の義務に違反している。
アムネスティ・インターナショナル日本
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