~今後のSSBJ基準等の適用を踏まえた人的資本経営の現在地と、企業価値創造への転換点~

HR総研(ProFuture株式会社/所長:寺澤康介)は、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム(代表理事:香川憲昭)、一般社団法人人的資本と企業価値向上研究会(代表理事:松岡仁)と共同で、人的資本経営と開示に関する企業・団体等の取組状況を大規模調査する「人的資本調査2025」を昨年の9月から12月にかけて実施しました。
本調査は第4回目の実施となります。今回調査への申込総数は310社を超え、160社から調査票のご提出をいただきました。この度、調査回答結果のサマリーをご紹介するとともに、全体傾向レポートをご案内します。
「人的資本調査2025 分析レポート」の発表
【調査の実施概要】
アンケート名称:人的資本調査2025
調査期間 :2025年9月10日~12月8日
有効回答 :160件(うち、上場企業が84%)
【調査結果サマリー】
本調査では、企業における人的資本経営と開示に関する取組状況について、「全社的な人的資本経営の体制」、「リスクと機会の分析と戦略の立案」、「人的資本投資の実行」、「データドリブンなPDCAサイクル」、「ステークホルダー開示と対話」の5領域に整理し、各領域の下に中項目・設問を配置して分析しました。
今回の調査では新たに、人的資本に関連するSSBJ基準および今後予定される内閣府令改正を意識した設問を追加した点が特徴です。具体的には、SASB基準の考慮状況、人的資本と財務指標の関連付け、人的資本に関するリスク管理体制の整備・開示、人材育成方針・社内環境整備方針・従業員給与・報酬の決定方針の策定状況などを把握し、制度改正や投資家要請への対応度合いを多面的に捉えました。
中項目毎の平均スコアは下図のとおりです。

分析の結果、人材戦略において「エンゲージメント」を重視する企業が前回調査より増加しており、人的資本を企業競争力の源泉として捉える姿勢が一段と強まっていることが明らかになりました。また、賃上げについても全体としては進展が見られ、人的資本への投資意識の高まりがうかがえます。一方で、SSBJ基準で重視される人的資本と財務情報との接続まで実現できている企業は少数にとどまっており、人的資本経営を企業価値向上へ結び付ける高度化の面ではなお課題が残る結果となりました。これらの結果から、「人的資本を重視する段階」から「その効果を企業価値と結び付けて示す段階」への移行が、今後の重要課題であることが示唆されました。
以下、関連する設問を分析し、特徴的な結果について詳述します。
「人材戦略の中で重要視している指標」は「エンゲージメント」が最多。前回比10ポイント上昇
「人材戦略の中で重要視している指標」について見ると、今回調査では「エンゲージメント」(50%)が最多となり、前回調査(40%)から10ポイント上昇しました。次いで「育成」(28%)、「ダイバーシティ」(26%)が続いています。上位3項目の構図自体は前回調査時から継続しているものの、「育成」が「ダイバーシティ」を上回った点は注目されます。

SSBJ基準対応で求められる「人的資本と財務情報の接続」は13%にとどまる
今回調査で追加したSSBJ基準関連項目のうち、「人的資本の取組と財務指標の関連について定性・定量ともに整理し、人的資本が財務にどの程度定量的に影響を与えるかを社外に開示している」とする企業は13%にとどまりました。一方、「検討出来ていない、あるいは検討を始めた段階である」とする企業は48%と約半数を占めています。人的資本の取組を企業価値向上に繋げるストーリーを、定量的な財務成果やKPIとの関係で裏付ける段階には至っていない企業が多いことが読み取れます。今後は、人的資本施策を語るだけでなく、それが収益性や成長性、リスク管理にどのような影響を与えているのかを示す分析基盤の整備が求められます。

賃上げは進展も水準は5%未満が中心。業種差が鮮明に
有価証券報告書での開示が義務化されている項目についても確認しました。
平均年間給与の増減率は、全体として前事業年度から緩やかな増加傾向が見られるものの、分布を見ると、賃金改定の中心は5%未満のレンジに集中していることが分かりました。一方で、「運輸・エネルギー」では平均値6.5%と他業種より比較的高い傾向で、業種差が鮮明となっています。

【人的資本調査2025の全体分析レポート本編】
その他の分析を含む人的資本調査2025の全体分析レポート本編はこちらからご覧いただけます。
【「人的資本リーダーズ2025」、「人的資本経営品質2025」の授賞企業発表サイト】
「人的資本調査2025」への回答にご協力いただいた企業の中から、特に優れた人的資本経営及び情報開示の取組みを行っていると認められる企業を「人的資本リーダーズ2025」ならびに「人的資本経営品質2025」として表彰しております。授賞企業の詳細はこちらからご覧いただけます。
人的資本調査について
企業の持続的な成長を実現していくためには、人的資本への投資が不可欠です。人的資本調査は、「企業価値向上につながる、より質の高い人的資本取組の普及啓発」を目的として、2022年より開催し本調査で4回目の実施となりました。企業にアンケートに回答いただくことで、無償で人的資本取組を個別に評価してフィードバックし、また、特に優れた取組みを行う企業を表彰しております。これまでの累計では、1,700社以上に参加いただき、860社以上から回答いただきました。その中で、「フィードバックレポートを受け、人材戦略の実効性を高めるきっかけとなった」や「表彰されたことで、ブランディングの向上につながった」といった多くの反響・ご好評をいただいております。
詳細につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
公式サイト https://www.hrpro.co.jp/human_capital_survey/
