2030年頃に迎える解体ピークに合わせ、AI検出で目視による画像確認をサポート
日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長兼社長CEO 佐藤 雅之)は、日揮グループのエネルギー・環境コンサルティング事業会社である日本エヌ・ユー・エス株式会社(代表取締役社長 近本 一彦、以下「JANUS」)が、日本で初めて空気中のアスベスト計測にAIを活用する支援システム「メコラス(R)」※1を開発しましたのでお知らせいたします。メコラス(R)は、アスベストを使用した建物の解体時に粉塵画像のAI診断を通じてアスベスト飛散の有無を確認するために利用し、作業の省力化や精度向上などが期待できます。
※1) メコラス(R)は、国立研究開発法人国立環境研究所と株式会社環境管理センターの共同研究によるもの。
アスベストは現在、国内では使用が禁止されていますが、過去にアスベストを使用した建物は数多く残っており、国土交通省の資料※2によれば、2030年頃に解体のピークを迎えると予測されています。解体件数の増加に伴い、アスベスト漏洩防止に不可欠なモニタリング(解体時にアスベストが実際に飛散していないかの確認)の件数も増加しており、迅速な分析実施のニーズが一層高まっています。
※2) 国土交通省社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会(第6回)(2012年)配付資料
アスベスト飛散に関するモニタリングは、環境省が定めたモニタリングマニュアルに基づき、フィルターで集めた粉塵を確認することで行います。顕微鏡を用いて目視で繊維状物質の数を確認しますが、フィルター1枚を確認するのに25分~100分ほどの時間を要することに加え、確認する分析者の経験値等によって精度や時間が大きく異なるといった課題があり、従来からその改善が期待されていました。
JANUSは、化学物質管理分野で培ってきた知見および保有しているAI画像分析技術を活かし、位相差顕微鏡画像の計数作業を支援することで実現可能となる、分析業務の省力化と判定精度向上に着目しました。メコラス(R)では、位相差顕微鏡の画像データをAIに読み込ませることで繊維状物質をクローズアップし、AI検出により正確な長さを出すことが可能になりました。また、繊維状物質が重なり長さを計数できない場合は、その重なった繊維状物質のみを計数不可として表示されます。これにより、確認者は繊維状物質の長さの判断に迷わず数え間違いがなくなります。環境省が定めたモニタリングマニュアルでは、1つの解体現場で4か所(4フィルター)で確認する必要があり、100~400分かかっていましたが、メコラス(R)を使用することにより約7分で完了する計算になります。

左の画像をメコラス(R)に読み込むと、AIが繊維状の物質を識別する
右の画像のようにマーカー(写真の赤い部分)で分かりやすく表示する。確認者はこれをもとに、漏れや識別ミスがないか確認することができる
アスベストの検査機関や解体会社、建設会社での利用を想定し、JANUSは今年夏のメコラス(R)の発売を目指しています。導入環境に応じた柔軟な提供を想定しており、価格や具体的な提供条件については現在検討中です。2027年以降には顕微鏡画像からリアルタイムで顕微鏡カメラの画像を確認できる機能を追加予定です。
JANUSは、日揮グループの中でエネルギーと環境分野を中心とした技術コンサルティングを担う会社であり、環境、エネルギー、安全・防災、ITソリューションの4分野を主要事業としています。大気・水域・陸域環境の調査・評価、化学物質管理、気候変動対策や脱炭素化コンサルティング、原子力を含むエネルギー分野の技術支援、リスク評価や防災・被ばく影響評価などのコンサルティングサービスを提供しています。また、シミュレーション技術やデータ解析を活用したITソリューションを通じ、社会インフラの高度化や持続可能な社会の実現に貢献しています。
日揮グループは、今後も、これら環境分野への積極的な取り組みを通じて、持続可能な「環境調和型社会」の実現に向けて貢献していく所存です。
参考:AI検出に関する再現率などの詳細データ
国立環境研究所のプレスリリース
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20260330/20260330.html