「高校無償化」について授業料以外の教育費支援の拡充を求める保護者の声も
子ども支援専門の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎、本部:東京都千代田区、以下セーブ・ザ・チルドレン)は、経済的な困難や生活上の困難がある世帯を対象に、中学・高校の入学に関わる費用の一部を支給する「子ども給付金 ~新入学サポート~」を行っています。
この度、同事業に申請した、2026年4月に中学校や高校などに進学予定の子どもがいる世帯の保護者1,800人を対象に、入学に必要な費用に関する経済的負担の実態や、4月から始まるいわゆる「高校無償化」に対する認識を把握することを目的として、「経済的に困難な子育て世帯の中学・高校の入学時の負担に関する調査」(以下、本調査)を実施しました。本日4月3日に、調査結果を発表します。
本調査では、「制服代」の準備が難しいと回答した世帯が8割を超え、2022年の調査の開始以来、最も高い割合となりました。また、卒業・入学の費用捻出のために7割以上の世帯が「他の生活費を削る」と回答。中高の入学時の学用品購入費用に加え、物価高の影響も重なり、家計の一層の逼迫した状況が浮き彫りとなりました。
また、「高校無償化」に関して、半数以上が「教育に関する経済的支援が増えて助かると思う」と回答した一方、新高校1年生の保護者の4割以上が「授業料に関する支援ではなく、授業料以外の教育費の支援が増えてほしかった」と回答し、経済的に困難な子育て世帯にとって制度改正の効果は限定的だと受け止められていることが明らかになりました。
セーブ・ザ・チルドレンは調査結果を踏まえ、特に経済的に厳しい状況にある子どもたちの学ぶ権利を保障し、真の意味での教育無償化を実現するため、「学用品に関する早急な運用改善」や「高校など入学準備に関わる新制度の創設」といった提言も報告書内にまとめ、文部科学省をはじめ関係省庁や自治体に訴えていきます。
※有効回答数は、2026年1月に実施した、「子ども給付金 ~新入学サポート2026~」に申請し、回答が確認できた全国47都道府県の保護者1,800人(きょうだい申請の場合など、同一保護者による回答を含む)です。調査概要はp.4参照。
■調査結果報告書はこちら:
https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/report-shinnyugaku_shinsei2026.pdf
<調査結果のハイライト>
1. 「制服代」の準備が難しいと回答した世帯が過去最多に(グラフ1)
卒業・入学に関わる費用について、「制服代」の準備が難しいと回答した世帯は、新中学1年生で84.4%、新高校1年生で82.3%と、2022年の調査開始以来、最も高い割合となった。
2. 卒業・入学の費用捻出のため7割以上が「他の生活費を削る」と回答(グラフ2)
卒業・入学にかかる費用の捻出方法について聞いたところ、2025年調査より約10ポイント多い70%以上の保護者が「他の生活費を削る」と回答した。具体的には、「親自身の食事量を減らしている」(79.4%)、「冷暖房をあまりつけないようにしている」(67.4%)が多く、生活のさまざまな費用を削って捻出していることが明らかになった。
3. 約3分の1の世帯が卒業・入学費用捻出のために借入で対応(グラフ2)
卒業・入学費用の捻出方法として、約3割の世帯が借入を選択した。借入予定の新高校1年生の保護者のうち約4割は借入金額が19万円以上と回答した。
4. 卒業・入学について7割以上が経済面で、約6割が気持ちの面で負担感(グラフ3)
卒業・入学に関する困りごとを聞いたところ、7割以上の保護者が高額な指定学用品や物価高騰による学用品の値上げなどの経済的な負担を挙げた。また、6割近くの保護者がこの時期に周囲と比べて経済的格差を感じる、子どもに我慢させている、と感じるなど気持ちの面でも負担感があることが分かった。
5. 「高校無償化」は半数以上が肯定的、4割以上の新高校1年生保護者は授業料以外の支援を希望(グラフ4)
2026年4月からの「高校無償化」(高等学校等就学支援金制度改正)について、回答者の半数以上が「教育に関す る経済的支援が増えて助かると思う」と肯定的に捉えている一方、新高校1年生の保護者は4割以上が「授業料に関する支援ではなく、授業料以外の教育費の支援が増えてほしかった」と回答した。




Q. 中学・高校入学費用を含む学校生活にかかる費用全般(授業料、制服代、通学費、教科書・教材代、学校指定品にかかる費用、修学旅行費、部活動など)について、具体的な懸念や政府への要望があれば教えてください。(自由記述)※1

・ 制服を含む学用品が指定で選択の余地がなく、物価高騰の影響で制服代や運動着代などの学用品が値上がりしているためそちらへの支援を手厚くしていただけるとありがたい。また、指定ではなく選択できるようにして欲しい。(新中1の父、ふたり親世帯、三重県)※2
・ 子ども自身が行きたい学校ではなく、通学の費用がかからない場所、など出費を減らすことを考慮して決めているのではないかと思い、そうさせている状況に不安を感じています。中学でも部活も道具やユニフォーム代が少ない部活をえらんでました。(新高1の母、ひとり親世帯、石川県)
※1 ワードクラウドの作成には、KH Coderのプラグイン文錦(R) ビジュアル プレゼンテーション for KH Coderを使用した。頻出度5以上のワードで作成した。
※2 ()内は回答者の子どもの学年と続柄、世帯状況、居住
<調査結果を受けた提言>
セーブ・ザ・チルドレンは調査結果を踏まえ、特に経済的に厳しい状況にある子どもたちの学ぶ権利を保障し、真の意味での教育無償化を実現するために、下記4点を、文部科学省をはじめ関係省庁や自治体に訴えていきます。
1.学用品に関する早急な運用改善-必要性の見直し、学校備品化、選択制、必要金額の提示-
2.多様な学びにおける費用負担の現状把握と経済的支援の拡充検討
3.就学費用軽減に関する既存の支援制度のさらなる拡充、独自制度の全国への波及
4.高校など入学準備に関わる新制度の創設
「経済的に困難な子育て世帯の中学・高校の入学時の負担に関する調査」概要
【調査対象】 セーブ・ザ・チルドレンが実施した「子ども給付金 ~新入学サポート2026~」に申請した保護者
【調査方法】 給付金申請時にオンラインアンケートを実施、すべて必須回答(一部、紙による回答と支援者による代理回答も受け付けた。)
【回収期間】 2026 年1月8日~1月23日
【有効回答数】 1,800人(子ども1人の申請ごとに保護者が回答。きょうだい申請の場合など、同一保護者による回答を含む。)
セーブ・ザ・チルドレンの子ども支援事業 「子ども給付金 ~新入学サポート~」について

特定の生活上の困難があり、かつ経済的に困難な世帯で、当団体が定める申請条件を満たす世帯を対象に、中学・高校の入学に関わる費用の一部を支援しています(子ども 1 人につき、中学入学時 3 万円、高校入学時に 5万円を給付)。返還の必要はありません。
東北地域で就学支援のため 2016 年に開始し、2022 年からは対象地域を全国へ拡大。これまでに、のべ6,246人が同給付金を利用しています。
【2016-2021年】2,606 人 ※岩手県山田町・宮古市、宮城県石巻市の東北地域対象
【2022年】631 人(574 世帯) ※同年以降、全国に対象を拡大。【2023年】979 人(882 世帯)
【2024年】995 人(899 世帯) 【2025年】1,035人(950世帯)
【2026年】対象条件に基づき審査を行った上、2026年3月初旬から順次給付
【詳細URL】 https://www.savechildren.or.jp/lp/kodomosupport2026/ (※申請条件ほか詳細)