昨年は飢饉回避も、栄養状態悪化は止まらず
※本信は、ユニセフ本部の発信情報を元に、日本ユニセフ協会が作成・配信しています。
【2015年9月9日 ジュバ（南スーダン）発】
ユニセフ（国連児童基金）とWFP（世界食糧計画）はいま、苛烈な紛争によって何百万もの人々が避難を余儀なくされ、基本的な社会サービスが崩壊し、病気や飢えが広がる南スーダンで、深刻な栄養不良状態を改善すべく支援活動を加速しています。
ユニセフとWFPは本日、南スーダンで実施している共同の栄養支援計画をさらに強化することを発表しました。この計画では、両機関とパートナー団体は、200万人以上の南スーダンの子どもや妊産婦を対象に、2016年5月まで、急性栄養不良の予防と治療のための支援を行うとしています。両機関の共同の栄養支援活動は昨年に始まり、2年目に入るにあたって、人々の命を守るこの活動を拡大することを決めたのです。
「南スーダンでは、2分にひとり、新たに子どもが重度の栄養不良に陥っています。昨年、我々は飢饉を回避することができました。そしていま、幼い命を失う悲劇を防ぐため、さらに努力しなければなりません」とユニセフ・南スーダン事務所代表のジョナサン・ヴェイチは述べました。
改定された新たな戦略に添付されている報告書は、1年目に両機関が行った支援では、紛争地帯への共同即応チームの派遣や非戦闘地域での支援強化など、革新的な手法によって国中で100万人に手を差し伸べ、飢饉が回避されたことを報告しています。
WFP南スーダン事務所のジョイス・ルマ代表は、「1年目は、大変厳しい条件の中で、南スーダンのできる限り多くの場所で、できる限り多くの人々に、本当に必要な栄養支援を届けるために活動しました。引き続き、栄養不良の予防と治療ケアを続けるため、栄養支援の質の改善を行いたいと考えています」と話しました。
共同栄養支援計画は、南スーダンの全ての州を対象にしています。計画では、地方や政府のパートナー団体との連携を増やし、栄養治療ケアの対応能力の向上を目指します。また、貧困や適切な水と衛生、乳幼児への食事の与え方など、栄養不良の根本原因にも対応していきます。
南スーダンの栄養不良は近年の緊急的な問題であると同時に、この国が抱える慢性的な課題でもあります。次の世代の健康を守るために、栄養不良の予防と、急性栄養不良から命を守る質の高い対応の両方に注力する必要があります。
南スーダンは、上ナイル州、ワラップ州、北バハル・エル・ガザール州をはじめ国のほとんどの地域で、栄養不良率が緊急事態の指標となる15％を超えており、25万人の子どもが重度の栄養不良に苦しんでいます。
8月に実現した和平合意は、人々に新しい国への希望をもたらしましたが、保健や栄養の基本サービスはいまだ国民のほとんどに届いていません。4月以来、激しい戦闘によって何十万人もの人々が身を守るために森や湿地に逃げ込んでいますが、そうした場所では人道支援すら届きません。そしてこの1年で再建した病院や安全な水、栄養治療ケアのための外来施設や入院施設などの基本サービスは、破壊されてしまいました。
2013年12月に紛争が勃発して以来、南スーダンでは200万人以上の人々が家を追われ、その半数以上は子どもです。人道支援機関は、こうした紛争の影響を受けている人々に継続的に栄養支援を行っていく上で、いまも困難に直面しています。
ユニセフとWFPによる南スーダンでの栄養支援は、EU、日本、ノルウェー、スイス、英国、米国などの支援によって行われています。
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