~液性ゴムでムラなく充填、高い止水性を実現~
大和ハウスグループの株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区 社長:奥村洋治)は、シールド工事において地下水や裏込材(※1)の侵入を防止する「FHブラシシール」を早川ゴム株式会社(本社:広島県福山市 社長:早川雅則)と共同開発しました。FHブラシシールは、液性ゴムを主剤とした2液反応型弾性シール材をテールブラシ(以下「ブラシ」と言います。)に充填する構造です。液状ゴムがブラシと一体化するため、弾性ゴム本来の優れた伸縮性と耐久性を活かすことができ、曲線施工や高水圧の施工条件でも高い追従性(※2)と遮水性を発揮します。これにより、シールド掘進時のブラシの止水性能が格段に向上しました。また、ブラシ内部に固着した裏込材の影響で、ブラシの可動範囲が低下してしまい、テール通過中のセグメントに拘束力が作用し、ひび割れなど不具合が発生するといった問題も解消することができます(図1参照)。
通常、シールド工事におけるシールド機内への地下水や裏込材の流入は、シールド後端部に装備されるブラシで防止します。このブラシの止水は、ブラシ本体の構造とブラシ内に充填されるパテグリス(ペースト状のパテ)により行われます。従って、シールド掘進時の止水性を維持するためには、このブラシの追従性とパテグリスの地山流出防止(セグメント外への流出防止)が重要となります。しかし、線形が複雑なシールド工事では、急曲線施工時のテール部隙間の変位により、ブラシの形状変形やパテグリスの地山流出が発生し止水性が低下しやすくなります。この結果、裏込材がシールド機内へ逆流することになり、流出したパテグリスの代わりにブラシ内部に裏込材が入り込みブラシ内部で固化することで、さらに漏水が多くなり、出水事故やブラシ交換といったトラブルの原因となります。
このFHブラシシールの性能を確認するため、同一のシールド機を2台使用した岡崎線送水管工事(愛知県豊田市)に導入し、従来方式との比較検証を行い、FHブラシシールを採用したシールド機の方がテールからの漏水や裏込材の流入が少なく高い止水性を保持できることが実証されました(写真3、4参照)。
今後は、技術提案を行い、導入実績を増やし、普及を進めていきます。
「FHブラシシール」の特長
1.高止水性
0.3MPaの水圧試験で実証し従来の3倍の止水性能を確保できます(写真1、図2参照)。
2.曲線施工時で高い追従性
弾性シール材の伸縮性を活かし、曲線施工での高い追従性を発揮します。
3.優れた耐久性
橋のジョイント部にも充填されるシール材を使用しており、数多くの施工実績により、その耐候性・耐久性が実証されています。
4.施工(充填)が簡単
充填中は液状ゴム状態でムラなくテールブラシ内に注入し、常温硬化するため能率的に施工ができます(写真2参照)。
【岡崎線送水管工事概要】
工事名称:岡崎線耐震化送水管布設(その1、その2)工事
工事場所:愛知県豊田市栄生町から小坂町地内
発注者:愛知県企業庁
施工者:フジタ・徳倉建設・山本工務店共同企業体
工事概要:泥土圧シールド、マシン径2,890mm、その1:延長1,655m その2:1,930m
※1裏込材:セグメントと地山の空隙を充填するため、注入する材料。モルタル、セメント、粘土や可塑状固結タイプなど。
※2ブラシの追従性:セグメントとブラシが密着して動くこと。