【遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?】
京都芸術大学と東北芸術工科大学による学生選抜展「DOUBLE ANNUAL 2026」は、両大学の学生がキュレーターとの対話を重ねながら、約1年をかけて展覧会をつくりあげる実践的な芸術教育プログラムです。本年度のテーマは「遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?」。京都と山形という二つの異なる場所から生まれた視点が、国立新美術館という中間地点でひとつの展覧会として立ち上がります。
京都芸術大学(京都市左京区/学長 佐藤 卓)と東北芸術工科大学(山形市上桜田/学長 中山ダイスケ)は、学生選抜展「DOUBLE ANNUAL2026 ――遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?」を2026年2月21日(土)~3月1日(日)に国立新美術館で開催します。本展は、堤拓也・慶野結香の2名のディレクターと、監修に片岡真実(森美術館館長)を迎え、展覧会をつくりあげます。
本展覧会は、両大学の全学部生と院生を対象に募集・選抜を行い、ディレクターの提示したテーマに応答する形で、ディレクターたちと対話を続け、制作指導を受けながら展覧会をつくり上げる実践的な芸術教育プログラムです。2022年度から姉妹校である東北芸術工科大学からも学生選抜を行うプロジェクトへと発展させ、京都と山形という二つの異なる地点から「アートになにができるのか」を問いかけます。

■開催概要
DOUBLE ANNUAL 2026 遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?
会期:2026年2月21日(土)~3月1日(日)
時間:10:00~18:00 ※最終日の観覧締切時間は17:30
会場:国立新美術館 3階 展示室3A 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
会期中の休館日:2月24日(火)
https://www.kyoto-art.ac.jp/doubleannual2026/(公開準備中)
主催:京都芸術大学(Kyoto University of the Arts)
協力:東北芸術工科大学(Tohoku University of Art & Design)
協賛:株式会社きんでん、セコム株式会社、株式会社竹中工務店、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社、株式会社毎日映像音響システム
■DOUBLE ANNUALについて
DOUBLE ANNUALとは、京都芸術大学および東北芸術工科大学の学生から選抜された作品を紹介する展覧会です。両大学の学部生・大学院生を対象に、国立新美術館での展示企画案を募集し、本年度は64組73名の応募がありました。その中から、ディレクターによる審査を経て、11名(組)が選出されています。
本プロジェクトは、「アートに何ができるのか」という問いを、制作と展示の実践を通して探究する教育プログラムでもあります。学生たちは、現役のキュレーター(京都芸術大学:堤拓也、東北芸術工科大学:慶野結香)からの助言を受けながら作品制作と展示構想を進めると同時に、展示全体の構築に関わるアート・プラクティショナーと協働し、展覧会を形づくっていきます。
■本展のテーマについて
「遠くへ旅する者は多くの物語を語ることができる?/Long Ways, Long Lies?」
本展のタイトルは、ベルギー(オランダ語圏フランデレン地方)のことわざ「Wie verre reizen doet, kan veel verhalen」をもとに、疑問形として提示されたものです。貿易や航海を通じて遠方の世界と接触してきたこの地域では、「旅」は学びや語りの源であるという価値観が、長い時間をかけて共有されてきました。
一方で、このことわざを英訳すると、「Long Ways, Long Lies(長い旅には、長い嘘がつきもの)」という、ややアイロニカルな表現にたどり着きます。遠くへ旅をした人ほど、多くの物語を語る一方で、その真偽は曖昧になっていく--。こうした「旅」と「語り」のあいだに生まれるズレや戯れは、アートという創造的行為とも重なり合います。未知の世界へと私たちを連れ出すと同時に、現実と想像、真実と誇張のあいだを行き来する。その営みそのものが、アートの一側面なのかもしれません。

DOUBLE ANNUAL2026 プレビュー展(京都)撮影:顧剣亨
■学生たちの視点と展示の場
現在、京都や山形で学び、制作を行っている学生一人ひとりにも、それぞれの場所に至るまでの長い旅路があります。育った土地から離れてここにいる学生もいれば、地元に留まりながらも、別の意味での「旅」を続けてきた学生もいるでしょう。本展では、そうした多様な視点を通して、「アート」という広義の概念が、現代社会や世界の諸相をどのように観察し、身体を通して関与できるのかを考えていきます。
両大学の中間地点にあたる国立新美術館という場において、これらの思考や実感をどのように可視化し、伝達できるのか。グローバルな状況を背景にしながら、作家たちは自らの日常を出発点に、現実と向き合い、その実感をそれぞれの表現として提示します。
■教育プログラムとしての意義
本プロジェクトの目的は、将来アーティストとして活動を続けたい、あるいは何らかのかたちで芸術に関わり続けたいと考える学生たちにとっての「実践の場」を提供することにあります。参加する学生たちは、多様な仲間や専門家との出会いを通して、それぞれの作品やプロジェクトを進めていく、一種の旅のような経験を重ねています。そしてその旅は、この展覧会が終了した後も、各々のかたちで続いていくことでしょう。
■出展作家 Artists
- アイラゴン Ayalguun(京都芸術大学大学院 芸術専攻 美術工芸領域 修士2年)
- Brumend Maps:黄安琪 HUANG ANQI、王語唐 WANG YUTANG、曽嘉棋 ZENG JIAQI(京都芸術大学大学院 芸術専攻 美術工芸領域 修士2年/3名)
- 岡田琉生 Ryusei Okada(京都芸術大学 美術工芸学科 油画コース 4年)
- 忠丘巣迷(Tadaoka Sumai):久保 廣汰 Kota Kubo、チ田 真之助 Shinnosuke Tida(京都芸術大学大学院 芸術専攻 芸術実践領域 修士1年/2名)
- 湯晴予 TANG QINGYU(京都芸術大学大学院 芸術専攻 美術工芸領域 修士2年)
- 宇野真太郎 Shintaro Uno(京都芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース 4年)
- 飛聲(FEISHO):岩田奈海 Nami Iwata、徐君逸 XU JUNYI(東北芸術工科大学 美術科 洋画コース 3年/2名)
- FLO:佐々木陽和 Hiyori Sasaki(東北芸術工科大学 工芸デザイン学科 3年)、佐藤創瑠 Tsukuru Sato(東北芸術工科大学 美術科 洋画コース 3年)
- 川口源太 Genta Kawaguchi(東北芸術工科大学大学院 複合芸術領域 修士1年)
- 木村晃子 Akiko Kimura(東北芸術工科大学大学院 複合芸術領域 修士2年)
- 中島慎之助 Shinnosuke Nakajima(東北芸術工科大学大学院 複合芸術領域 修士1年)
■アート・プラクティショナー Art Practitioners
- 三浦宗民 Somin Miura(京都芸術大学大学院 芸術専攻 文化デザイン・芸術教育領域 修士2年)
- 坂本茉里恵 Marie Sakamoto(京都芸術大学 アートプロデュース学科 アートプロデュースコース 3年)
- 白石光 Hikaru Shiraishi(京都芸術大学 情報デザイン学科 クロステックデザインコース 3年)
- 唐若喬 Tang Jo-Chiao(京都芸術大学大学院 芸術専攻 芸術実践領域 修士1年)
- 米林空 Sora Yonebayashi(京都芸術大学 アートプロデュース学科 アートプロデュースコース 3年)
- 古山果歩 Kaho Koyama(東北芸術工科大学 文化財保存修復学科 2年)
- 中土井陽太 Yota Nakadoi(東北芸術工科大学 企画構想学科 1年)
アート・プラクティショナーとは
美術展をつくる一連のプロセスの一部を担うスタッフ。作家と深く関わり、展覧会ができるまでの活動を記録し、テクストを書き、広く世界に届けていくこと等を行います。一昨年の「DOUBLE ANNUAL 2024」では、アート・メディエーター(マネジメント班/パブリシティ班)と呼ばれていた役割が、2024度から志望者の得意分野や専門分野を考慮した実務者として、「アート・プラクティショナー」へとアップデートされました。

photo:Kai Maetani
ディレクター(京都芸術大学 担当):堤拓也 Takuya Tsutsumi
2019年アダム・ミツキエヴィチ大学大学院カルチュラル・スタディーズ専攻修了。京都芸術大学大学院准教授。展示空間の構成だけに限らず、パフォーマンスを含む1回的な体験機会を生み出す一方で、アジアを中心とした非制度的な実践に関心がある。2018年より共同スタジオ・山中suplexプログラムディレクター、2025年よりICA京都プログラム・ディレクター。

ディレクター(東北芸術工科大学 担当):慶野結香 Yuka Keino
東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。秋田公立美術大学、サモア国立博物館(Museum of Samoa)、青森公立大学 国際芸術センター青森 [ACAC] 主任学芸員、アントワープ大学国際客員研究員を経て、フリーランス。キュレーションの方法論として、滞在制作およびAIRに関心を持つ。アジア・パシフィック地域における、布をはじめとした文化のリサーチを行いながら、アーティストと協働し近現代史を再考する企画を多く手がける。

写真:伊藤彰紀
監修:片岡真実 Kataoka Mami
森美術館館長、国立アートリサーチセンター長、京都芸術大学大学院教授。2017-2019年度KUA ANNUALディレクター。芸術監督として、第9回光州ビエンナーレ(2012年、共同監督)、第21回シドニー・ビエンナーレ(2018年)、国際芸術祭「あいち2022」なども兼務。
京都芸術大学について
国内最大規模の総合芸術大学として通学課程・通信教育課程あわせて約23,000名が在籍。芸術を通じて社会に必要な力を育む「藝術立国」を教育目標に掲げ、年間100件を超える「社会実装プロジェクト」を展開しています。
所在地:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116
URL:https://www.kyoto-art.ac.jp/
東北芸術工科大学について
東北芸術工科大学は、「芸術的創造と良心による科学技術の運用により、新しい世界観の確立を目指す」 ことを建学の理念とし、全国発の公設民営大学として山形県山形市に設立された。芸術学部とデザイン工学部の2学部から成り、大学院生を含め約2,400名の学生が在籍する。実社会で活躍できる人材を輩出すべく、地域社会との連携を重視し、徹底した実学教育を展開していることが特長。2022年に開学30年を迎え、卒業生は延べ12,000人を超える。
所住地:〒990-9530 山形県山形市上桜田3丁目4番5号
URL: https://www.tuad.ac.jp/