最新データ発表

【2021年3月11日 ニューヨーク 発】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが宣言されてから1年。ユニセフ(国連児童基金)は、入手可能な最新のデータを通じて、世界の子どもたちにもたらされた非常に厳しい新たな日常を明らかにしています。

「パンデミックから1年が経過した今、子どもに関するすべての主要な指標における成果は事実上後退しています」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「飢餓状態にあり、孤立し、虐待を受け、不安を抱え、貧困の中で生活し、結婚を強いられている子どもの数が増えています。それと同時に、彼らの教育、社会への適応、保健、栄養、保護などの不可欠なサービスへのアクセスは減少しています。子どもたちが、今後何年にもわたりパンデミックの傷を負うという兆候は、明らかです」
【COVID-19パンデミックの子どもへの影響】
2021年3月現在、年齢別データがある107カ国のCOVID-19感染者7,100万人(世界の感染者の62%)のうち13%が20歳未満の子どもや青少年。
開発途上国では、子どもの貧困が約15%増加する見込み。これらの国々では、すでに貧困ライン以下で暮らしている子どもたちが1億4,000万人増えていると推定される。
世界では、1億6,800万人以上の学齢期の子どもが約1年間、休校により学校に通えずにいる。学校が完全休校や部分休校になっている国々の3分の2は、ラテンアメリカとカリブ海諸国。
少なくとも3人に1人の学齢期の子どもが、休校の間、遠隔学習を利用できていない。
2030年までの10年で、児童婚が従来の予想数よりも1,000万件多く発生する可能性。この慣習の削減に向けた長年の進展が脅かされている。
少なくとも7人に1人の子どもと若者が、昨年の大部分の期間、外出制限(ステイホーム)の下で生活しており、不安、抑うつ、孤立感につながっている。
2020年11月時点で、子どもや若者に対するメンタルヘルスサービスの3分の2以上が中断していた。
2020年11月時点で、主にサハラ以南アフリカと南アジアにおいて、2020年に消耗症や急性栄養不良に苦しんだ5歳未満の子どもが600~700万人増えた可能性があり、結果約5,400万人が消耗症を患い(14%の増加)、これはひと月に子どもの死亡が1万人以上増えたとも言い換えられる。子どもと女性のための栄養サービスが40%減少し、他の多くの栄養指標も悪化する恐れがある。
2020年11月時点で、26カ国ではしかの予防接種キャンペーンが休止されたために、9,400万人以上の人々が接種を逃すリスクに晒されている。
2020年11月現在、利用可能なデータがある59カ国では、難民や難民申請者は、国境封鎖や外国人排除の高まりにより、COVID-19に関連した社会保護支援を受けることができない。
世界では約30億人が、石けんと水を使った基本的な手洗い設備が家庭にない。後発開発途上国では、人々の4分の3、学校の3分の2以上、医療施設の4分の1がCOVID-19の感染を減らすために必要な基本的な衛生設備を欠いている。平均で毎日700人の5歳未満の子どもが、水や衛生設備の不足によって引き起こされる病気で命を落としている。

「子どもたちは復興の中心にいなければなりません。これは、再開計画の中で学校を優先させることを意味します。また、現金給付などの社会的保護を人々に提供することを意味します。そして、最も弱い立場に置かれた子どもたちに重要なサービスを提供することを意味します。そうして初めて、失われた世代を生まないようにすることができるのです」(フォア)
* * *
■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
COVAX情報ページ: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/covax/
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)