
【2022年6月10日 コロンボ(スリランカ)/カトマンズ(ネパール)/ジュネーブ 発】
悪化するスリランカの危機により、同国のほぼ半数の子どもが何らかの人道支援を必要としています。
ユニセフ(国連児童基金)は、スリランカの厳しい状況にある170万人の子どもたちの命を守り、栄養、保健、安全な飲料水、教育、メンタルヘルスサービスを今後7カ月の間に提供するために必要な資金として2,530万米ドルの支援要請を発表し、高まる子どもたちのニーズへの対応を拡大していきます。
「現在の危機は、家族を限界まで追い詰めています。子どもたちはお腹を空かせ、不安の中で眠りにつきます。多くの子どもが毎日学校に通うのは難しくなり、病院では子どもや妊婦のための薬も不足しています。今行動しなければ、最も弱い立場にある子どもたちが、自分たちに責任のない危機のために最も大きな代償を払うことになります」と、ユニセフ・スリランカ事務所代表のクリスチャン・スクーグは述べました。

今回の危機以前から、スリランカは南アジアで2番目に子どもの栄養不良率が高く、乳児の5人に2人が最低限の食事も与えられていない状態でした。食料価格の高騰により、現在70%の世帯が食料消費量を減らしていると報告しており、燃料危機と頻繁な停電により、保健・医療や教育など、子どもたちに不可欠なサービスに支障をきたしています。飲料水や生活用水のための安全な水も手に入りにくくなり、水に起因する疾病のリスクが高まっています。
「現在の危機は、この国ですでに貧困、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、繰り返される気候関連の災害といういくつもの困難に直面している最も脆弱な子どもたちに、追い打ちをかけています。ユニセフは、人道支援要請を通じて、スリランカの子どもたちへの支援を国際社会に強く求めています。私たちは共に、スリランカが長年にわたって達成してきた子どもたちのための着実な成果が、永久に覆されてしまわないようにすることができるのです」(スクーグ)
ユニセフが資金支援を要請する人道支援計画には、以下が含まれます。
5万6,000人の重度の急性栄養不良の子どもに治療を提供する。
10万人の子どもたちが学校給食プログラムの恩恵を受けられるようにする。
120万人が、ユニセフの支援する保健施設でプライマリ・ヘルスケアを受けられるようにする。
150万人に、飲用および生活用の安全な水を提供する。
2,500人の女の子と女性に、月経衛生管理サービスを提供する。
98万4,000人の子どもと親・養育者に、メンタルヘルスサービスと心理社会的支援を提供する。
66万5,700人の子どもが、就学前教育を含む正規または非正規の教育を受けられるようにする。
12万2,000人の妊婦に、栄養価の高い食生活を支える現金給付またはバウチャーによる支援を提供する。
スリランカで50年以上活動し、全土にパートナーのネットワークを持つユニセフは、命を守り、子どもたちが危機の最も悲惨な影響を受けないようにするため、最前線で活動しています。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/