「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ ~グラミー・スペシャル~」2月11日(火・祝)夜9:00[WOWOWライブ]
今年のグラミー賞は、賞レースとは別の場所にクライマックスと注目がありました。それは、「ポール・マッカートニーとリンゴ・スターの共演」というビートルズ・ファンの夢が目の前で繰り広げられるか否かだったのです。それもこれもすべては、グラミー賞翌日に「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ~ザ・グラミー・スペシャル~」(原題:The Night That Changed America: A GRAMMY Salute To The Beatles)が開催されるからこそ生まれたファンタジーでした。
何故、2014年の今年、ビートルズをトリビュートするのか? それは、彼らがイギリスからアメリカに進出して大ブレイクしたきっかけとなった「アメリカの国民的バラエティ番組、エド・サリバン・ショー」に初めて出演した1964年2月9日から、50年の時を迎えるからなのです。4人が出演した時は、当時のアメリカの全人口の60%の人々である7300万人がテレビの前に釘付けになったとされ、それ以降の「ポップミュージックとTV」の歴史をがらりと変えたわけですが、そのことにグラミー協会がもう一度賞賛をおくるべく、このトリビュートライヴが企画されました。そのクライマックスとして用意されたのが、生きるビートルズの2人であるポール・マッカートニーとリンゴ・スターの共演だったわけです。
当日は約5000人規模のコンベンションセンターでライヴが行われました。最初に登場したのは、現代のビートルズを追い求めるバンドの一つ、「マルーン5」。彼らが全体の一曲目として演奏したのは“All My Loving”。そう、この曲こそエド・サリバン・ショーの一曲目として全米に響き渡った曲だったのです。
その後もスペシャルなセッションが一曲ごとに披露され続けました。圧倒的な歌唱力と化学反応を響かせた、「アリシア・キーズとジョン・レジェンド」による“Let It Be”。そして「ビートルズがいなかったら、間違いなく僕はミュージシャンにならなかった。ママのフェイバリットバンドであり僕のフェイバリットであり、今は娘のフェイバリットなビートルズに感謝します」と見事なMCを放った「デイヴ・グロールとE.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のジェフ・リン」による剛と柔が重なった名演“Hey Bulldog”。さらにはこの一夜のために再結成されたアニー・レノックスとデイヴ・スチュワートによる80年代を代表するユニット「ユーリズミックス」による“Fool On The Hill”。前日のグラミーでのダフト・パンクとの夢の共演に続く、夢よ再びとばかりに登場した「スティーヴィー・ワンダー」によるスーパーセッション、“We Can Work It Out”。
ベテランばかりじゃありません。イギリスの新たな吟遊詩人である「エド・シーラン」によるアコースティックな“In My Life”。可憐さを前面に押し出した「世界一ツイッターフォロワーが多いアーティスト、ケイティ・ペリー」による“Yesterday”。そしてシルク・ドゥ・ソレイユによるアクロバティックな演出に囲まれた「ファレル・ウィリアムスとブラッド・ペイズリー」による“Here Comes The Sun”などなど。他にも挙げたらキリがないマジカルでミステリーでファンタジーなビートルズの名曲カヴァー・セッションが繰り広げられました。
ちなみに一曲ごとのセッションの合間には、ビートルズや4人の過去の様々な映像が流れます。言ってみれば、この時間はTVショーとして行われているライヴのインターバルであり、ステージ転換の狭間の時間なのですが、その時間でさえ、すべてのオーディエンスは「自分とビートルズとの時を振り返る」というロマンティックな時間を過ごし、あらためてビートルズという存在がこの50年間にもたらしたものの大きさを感じさせました。
そうそう、それぞれの演奏の前に何度かプレゼンターが表れたんですが、その中には「ジョニー・デップ」や「ショーン・ペン」も登場し、客席でずっとミラクルを楽しんでいたポールの横には常に「トム・ハンクス」が笑顔でいたり、音楽を超えたビートルズへの愛が飛び交った瞬間が何度も何度もありました。
そしていよいよラスト2。まずは「リンゴ・スター」ですが、彼が独特の楽天性を全開にして客とシンガロングした“Yellow Submarine”は、ビートルズがずっと追い求め続けたラヴ&ピースを最も自然体で醸し出した瞬間でした。そのお膳立ての後で登場した「ポール・マッカートニー」は、“Magical Mystery Tour”から始まり、“Get Back”や“Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”などのアンセムを経て、最終的にはリンゴを迎えデュエットしながら客席に愛と勇気を振りまき、最後の最後にはすべての出演者がステージにあがり“Hey Jude”でピークを迎えたのです。
この景色、この感動、この威厳、この豪華さ――すべてはビートルズと彼らのナンバーにしか表せない奇跡が2時間以上続いた、まさに時代を超えた夢の共演の、そのまた響宴だったと言えるでしょう。
グラミー賞もそうですが、今のポップミュージックを位置づけたのは、アメリカのショービズそのものであり、TVメディアのプロデュース能力の高さでした。そのことをグラミーとビートルズナンバー、そしてポールやリンゴを始めとする多くの素晴らしいミュージシャンが体現した一夜、それが、このビートルズ・トリビュートライヴだったのです。
沢山の見所がもっともっとあります。ポールとリンゴの共演を踊りながら見守る「オノ・ヨーコ」の姿。イーグルスのジョー・ウォルッシュとE.L.O.のジェフ・リンと共に登場し、“Something”を歌い鳴らしたジョージ・ハリスンの息子「ダーニ・ハリスン」の勇姿。
音楽が世界を変えるかどうかはまだまだわからないこの時代ですが、個人の人生を変えた名曲や伝説的なアーティストが今もここに存在していることを高らかに告げる素晴らしいショーに、あらためて拍手をおくりたいと思います。
鹿野 淳(MUSICA)
■■■WOWOW番組情報■■■
「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ ~グラミー・スペシャル~」
2月11日(火・祝)夜9:00[WOWOWライブ]
ポー ル・マッカートニーとリンゴ・スターが、ザ・ビートルズ解散以降初となる「ヘイ・ジュード」で共演!スティーヴィー・ワンダー、ユーリズミックス、マルーン5、アリシア・キーズ、ケイティ・ペリーをはじめ豪華グラミーアーティストがザ・ビートルズの名曲をパフォーマンス!その模様をWOWOWで2月11日独占放送!
http://www.wowow.co.jp/music/beatles/
■■■WOWOW関連番組情報■■■
「ビートルズと私」
2月11日(火・祝)夜7:30[WOWOWライブ]
ビートルズの大ファンであるシンガー・ソングライター、セス・スワースキーが8年かけて制作。50人以上の関係者へのインタビューを通して、ザ・ビートルズをひもとく。
http://www.wowow.co.jp/music/beatles/
「サウンド・シティ -リアル・トゥ・リール ポール・マッカートニー、ニール・ヤング、カート・コバーンが愛した伝説のスタジオ」
2月9日(日)夜11:00[WOWOWライブ]
伝説のスタジオ「サウンド・シティ」の隆盛と衰退を追う。ロックのアイコン、デイヴ・グロールが映画初監督を務めるドキュメンタリー映画。この作品から、「Cut Me Some Slack」が第56回グラミー賞の最優秀ロック・ソング、そしてサウンドトラックが同賞最優秀サウンドトラック・アルバムを受賞した。
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/104785/
「第56回グラミー賞授賞式」
3月16日(日)午後3:00[WOWOWライブ]
9 部門にノミネートされたJAY-Zとビヨンセの夫婦共演という豪華なオープニングアクトからスタートした第56回グラミー賞授賞式。AKB48とのコラボ で日本でも人気のロビン・シックとシカゴの共演や、ダフト・パンクとスティーヴィー・ワンダーとの共演、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターによる共 演など普段は見る事が出来ない蒼々たるメンバーによるライブ・パフォーマンスに富んだ音楽の祭典に相応しい豪華な内容を再び。
http://www.wowow.co.jp/music/grammy/
□□□関連情報□□□
ザ・ビートルズ『THE U.S. BOX』発売中!
TYCP-69001/13 ¥30,000(税別)
ユニバーサル・ミュージック ザ・ビートルズ http://sp.universal-music.co.jp/beatles/
『THE U.S. BOX』配信中 iTunes ビートルズ
https://itunes.apple.com/jp/artist/bitoruzu/id136975
<収録内容詳細>
DISC1 ミート・ザ・ビートルズ
DISC2 ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム
DISC3 ハード・デイズ・ナイト
DISC4 サムシング・ニュー
DISC5 ザ・ビートルズ・ストーリー * ステレオのみ
DISC6 ビートルズ'65
DISC7 アーリー・ビートルズ
DISC8 ビートルズVI
DISC9 ヘルプ!
DISC10 ラバー・ソウル
DISC11 イエスタデイ・アンド・トゥデイ
DISC12 リボルバー
DISC13 ヘイ・ジュード *ステレオのみ